『リトル・ミス・サンシャイン』トリビア
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■ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリスの監督夫妻は、大手のスタジオが製作をあきらめてから、自分たちで予算をやりくりし、5年かけて映画を完成させました。
■この映画の中の台詞でよく出てくるのが「負け犬(looser)」という言葉。自殺未遂をして家族に引き取られた叔父のフランクは、プルーストを研究する学者。「マルセル・プルーストは、徹底的に負け犬だ。まともな仕事に就いたこともなく、ゲイで、恋を実らせたこともない、誰も読まない小説を20年かけて書いた」というフランクの台詞が印象的です。
■その叔父のフランクを演じるのは、今最も勢いのあるコメディ俳優のスティーヴ・カレル。サタデーナイトライブなどで活躍した後、脚本も担当した『40歳の童貞男』の主演でブレーク。ジム・キャリーが降板した『ブルース・オールマイティ』の続編の主演も予定されるなど、今後も目が離せません。40歳を過ぎていても、スター俳優の仲間入りができるハリウッドは奥が深いですね。
『リトル・ミス・サンシャイン』シネクイント他、ロードショー公開中
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夢を持つ力を持続させてくれる映画
『幸せのちから』
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それを、演技力と人気を兼ね備えたウィル・スミスが全力で演じています。そして映画の中で、クリス・ガードナーの信じがたい成功の秘密とエネルギーが解き明かされます。
この作品の原題は『The Pursuit of Happyness (幸せの追求)』ですが、実は、happinessの綴りが間違っています。綴りが間違っている理由は、映画の中でちゃんと描かれていますが、それが、題名にまでなる理由はどこにあるんでしょう?
勝手に考えてしまいますと、この映画は、滅多にない大成功を描いていると同時に、本当の幸せは何かという命題を投げかけていると思います。本当の幸せは、わたしたちそれぞれが独自に考えるもので、明確な定義はないのでは?
クリスの考える幸せは、はっきりしています。「名声、成功、お金」は、目標であり夢ですが、誰かのためにそれが必要なので、それをとことん追い求めるのです。誰かというのは、愛する人。この映画の場合は、息子です。彼を守るために必要なものなら、何が何でも手に入れなくてはならない。だから、クリスは信じがたいエネルギーを発揮できるのです。
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この映画では、自分の中にある夢を現実にする力にもスポットを当てています。夢を夢のままにしておかない、実行力と信じる力。それでも、ここまでできたのは、どん底まで落ちたからじゃないかと、思わざる得ません。
わたしたちも、今がどん底って思えるときは、必ずありますよね。とことん疲れたり、会社で嫌な目にあったりする時です。クリスほどのどん底でなくても、こんな状況から抜け出たいと強く思いますよね。
そういう時は、この映画で描かれた「どん底からの力」を思い出すといいかもしれないですね。「火事場の馬鹿力」ではないですが、どん底には、どん底であるだけの力があると思います。クリスほどの大逆転だって、不可能ではないわけです。
「幸福」を定義するのは、わたしたち自身。自分なりの幸福を考えていい。そして「夢を叶える力」は、私たちの中に眠っている。それを思い出させてくれる映画です。
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