死刑囚に会いに行ったカン・ドンウォン

ソン・ヘソン監督は原作を一晩で読み、映画化を強く希望したという
ガイド:
主人公が死刑囚という設定ですが、社会的に敏感なストーリーを撮るにあたり、どのような事前準備や取材を進めたのですか。

ソン・ヘソン監督:
死刑囚の物語を扱うのは、プレッシャーでしたね。死刑反対と正面から言うと、商業的な映画ではなくなってしまいます。なぜ全面的に死刑制度を取り上げないのかという人もいましたが、それは私の心を分かっていないのです。
映画を撮るために、カン・ドンウォンやイ・ナヨンと一緒に実際の死刑囚に何度も会いに行きました。会わずには撮ることができませんでした。驚いたのは顔色が私たちよりも良かったということです。一般の人たちは毎日闘っているじゃないですか。信号一つだって、何で変わらないのかとイライラしたり。でも、死刑囚たちは執行が行われない間、信仰を心の拠り所にして生きているため、穏やかな表情をしていました。カン・ドンウォンとイ・ナヨンは最初、恐怖のためか死刑囚の顔をみることさえできなかったのですが、映画の撮影が終わった後、彼らから「もう一度会いに行こう」と提案してきました。死刑囚に実際に会うことによって、映画が真実に少しでも近づくことができたのではと思います。

ガイド:
撮影も実際の刑務所で行ったそうですね。

ソン・ヘソン監督:
撮影場所を探すのは、苦労しました。法務部というのは厳しいのです。韓国には死刑制度があり、制度として認められているのですが、原作は死刑がいかに良くない制度かということを表現しています。私たちは本物の刑務所で撮影したかった。セットだとお金がかかりますからね(笑)。私たちが選んだ刑務所は、刑期の長い人たちが入る場所でした。しかし、法務部は「そこでの撮影はダメだ」という。多くの人が来ると統制ができなくなるというのです。そこで、「カン・ドンウォンとイ・ナヨンを法務部の広報大使にしますから」と交渉したのです。すると、「本当か!?」と法務部が撮影をOKしました(笑)。法務部長官から感謝牌を受けました。

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