歴史ドラマに使命感
徹底した調査に基づいてドラマを作ることで知られるイ・ビョンフン監督 |
監督のプロフィールを拝見すると、大学は農学部の出身なんですね。
イ・ビョンフン監督:
放送の世界に関心を持つようになったのは、兵役についていたときでした。当時はラジオの時代でした。休戦ラインの近くで任務についていたのですが、夜になるといつもラジオに夢中になっていました。そして、卒業時には放送局を受けたのです。
農学部の人が放送局に入るのは珍しいことです。70年代の初めでしたが、当時はまだテレビが今のように大きな影響を持っていませんでした。華やかな世界で働いているという人もいましたが、ドラマを作って視聴者の反応を感じるようになりました。
きっかけとなったのは、70年代末に手がけた歴史ドラマでした。視聴者たちがそのドラマを見ながら歴史を学ぶのを見て、「自分の仕事は重要なんだ」と思い、使命感を持つようになりました。
ガイド:
放送の中でも報道やバラエティーなど様々な分野がありますが、もともとドラマを志望されていたのですか?
イ・ビョンフン監督:
そうですね。入社のときに芸能、教養、ドラマの中から希望する分野を選んで試験を受けるのです。教養プログラムはちょっとたいくつな感じがしたし、芸能は派手すぎる印象がありました。ドラマは適度に華やかでアカデミックだと思いました。
ガイド:
監督は今では韓国において歴史ドラマの巨匠的な存在ですが、歴史ものを演出するようになったきっかけは何ですか?
イ・ビョンフン監督:
最初はサスペンスなどを担当していましたが、『歴史の人物』というドキュメンタリーがあって、その中の再現ドラマをやることになったのです。再現ドラマは番組の中の3分の1だけだったのが、再現ドラマがあまりにも人気が出たため、ドキュメンタリー部分がなくなり、結局ドラマだけの番組になりました(笑)。
もうひとつのきっかけは、史劇専門ディレクターの下で2年間の修行を積む機会を得たことです。もともと関心があったというよりも、こうした縁がきっかけで歴史ドラマ演出の道に進むようになりました。
ガイド:
当初やっていたサスペンスと歴史ドラマでは同じドラマでもかなり特色が異なりますよね。歴史ドラマの醍醐味はどんなところにあると思いますか?
イ・ビョンフン監督:
歴史ドラマを作る面白さは、視聴者たちを感動させることができ、また教育的な意義も持っています。そして家族で楽しむことができる。サスペンスを作る動機が「楽しさ」であるとすれば、歴史ドラマは「使命感」だと思います。
次ページでは、ドラマ成功の秘密を語ります。