「台風太陽」。高校を卒業した女の子たちの成長を描いた「子猫をお願い」で知られるチョン・ジェウン監督の新作です。
「台風太陽」は、インラインスケートをテーマにした青春ストーリー。チョン・ジェウン監督への単独インタビューで映画の魅力に迫りました。
1年以上取材を重ねて書いたストーリー
―インラインスケートをテーマにした理由は?「スケートボードなど、いわゆる『エクストリームスポーツ』に関心がありました。この映画のテーマであるアグレッシブインラインスポーツも、エクストリームスポーツの一つです。若者文化の象徴ともいえますし、大会も開かれています。なぜ関心を持ったかというと、他のスポーツとは異なり、勝ったからと言って有名になるわけでも名誉が与えられるわけでもないということ。また都市で行われる、都会を象徴するスポーツであるということです。インラインスケートは韓国では10年ぐらい前に始まり、特にポピュラーになっています」
―ストーリーのヒントはどんなところから得たのですか?
「私自身はスケートをしないのですが、スケーターたちの文化や、彼らがどんなことを考えているのかを知るために、取材を重ねました。彼らと一緒に遊びましたね。遊びながら写真を撮り、話を聞きました。大会にも足を運びましたね。彼らの世界には閉鎖的なところもあるので、最初は私を無視していました。『映画を作るって言っているけど、本当かよ』って。やっと心を開いてくれたのは、1年近く足を運んだ後でした。話を聞きながら、恋愛やスケートに反対する親のエピソードなど、ディテールを組み立てていきました」
―「子猫をお願い」でも「台風太陽」でも10代から20代の若者を描いていますが、その世代を取り続ける理由は何ですか。
「私はちょっと足らないところがあるせいか、年上よりも、若い人たちに親近感を感じるんですね(笑い)。同世代の男性の監督たちは、お酒ばかり飲んでいて、スポーツも好きじゃない。歌を歌うのがすき。でも、私はそれよりも公園をぶらぶらしたり、体を動かしたりするのが好きなんです。また、私はこう思います。映画監督だったら、自分よりも上の世代や、若い世代のことを理解しなければならないと。自分と違う世代に対して関心を持ち、同じマインドを持つ努力が必要だと思っています」
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