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「お笑い芸人」の社会的位置付け(2ページ目)

お調子者の「お笑い芸人」は、えてして世間から低いポジションに見られがち。でも本当のところはどうなんでしょう?「ネタ作り」の観点から「お笑い芸人」という職業について考えます。

執筆者:金田 有朋

お笑い芸人さんもネタが評価され、人気も上がってきたので単独ライブをやることにしました。「ルミネ the よしもと」で500人。CDアルバムなど出ているはずもありません。むしろお客さんは全て「新ネタ」を観ることを期待しています。文字通り「観客」です。怒涛のネタ作りが幕を開けます。かつて「ますだおかだ」の漫才にもありましたが、お笑いライブの会場で、ボケのセリフに対し、「エビバディSay!『なんでやね~ん!』」などと大合唱するライブは観たことがありません。ライブ会場という一つの空間を演者と観客で共有することはどちらも同じですが「知っているものを楽しみにいく」のと「知らないものを楽しみにいく」というのではお客さんのスタンスが大きく違います。

はかなくも崇高。お笑い芸人という職業

若者にからまれることなく悠然と歩く芸人たち
街で若者にからまれることなく、悠然と闊歩するお笑い芸人のイメージ。
これらのことを簡単にまとめると
■苦労して「ネタ」を作っても披露できるのは数回。=寿命が短い
■「ネタ」自体が商品になることが少ない。=物的な流通力が低い。(換金化もしにくい。)
■ライブを行なっても観客動員が数百人規模である。=作業量と伝達量のアンバランス

何もこれは音楽が簡単なものだと言っているのではありません。全てのお笑い芸人に敬意をはらえと言いたいわけでもありません。ただお笑い芸人が日々行なっている仕事が、とてもはかない運命で過酷な作業の繰り返しであることを心に留めていただきたいだけです。

世の中の仕事なんて総じてラクな仕事などなく、大変なものであることは間違いありません。しかし、いつもヘラヘラしているように見えるお笑い芸人の裏側、つまり「笑い」を創造することへのシビアな格闘は生半可なものではありません。「お笑い」の世界に足を踏み入れたら、廃業するまで「笑い」を取り続けなければいけないわけですから。少なくとも私は「お笑い芸人」という仕事が世の中で2番目に大変な職業だと思ってます。

だいぶ前の話になりますが「寸止め海峡」というビデオ作品のエンドロールで、松本人志はこんなことを言いました。

「神が人を作ったと偉ぶるなら、それがどうしたと言ってやる。俺は笑いを作っている。」

全てのお笑い芸人にとって、励みになった言葉ではないでしょうか。「笑い」を生み出すことは、神が行なったとされる「天地創造」に等しい作業ということですからね。偉業、この上ないですよ。

今回は「ネタ」の観点からお笑い芸人の仕事に触れましたが、これを機に皆様の中でお笑い芸人に対する評価が変わると嬉しく思います。
あ、ちなみに私が世の中で1番大変な職業だと思っているのは「お母さん」です。

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