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ツッコミ基礎講座1 ツッコミの心・技・体

連載形式でおくるツッコミ基礎講座の第一回目。お堅い講座ではなく、肩の力を抜いて読める体裁で、ツッコミとしての心構えを解説。

執筆者:金田 有朋


あらゆる会話の中で人は往々にして「ボケ」「ツッコミ」「天然」のうちどれかのキャラクターで会話をしている
一般に、人のキャラクターは大きく3つに分けられます。「ボケ」「ツッコミ」「天然」の3つです。本サイトではその中でも特に「ツッコミ」にスポットを当て、「ツッコミ」の仕組みやノウハウといったあたりを連載形式で解析していきたいと思います。「ツッコミ」キャラの人はよりよい「ツッコミ」へ。そうでない方は「ツッコミ」キャラの理解へとステップアップ出来れば何よりです。

まずは第一回目として、日常会話における「ツッコミ」の基本となる「心・技・体」をご紹介します。

【心】 日常の違和感に対し、高い意識を持つ

さて、早速ですがすぐれた「ツッコミ」を志すのあれば、普段の生活から勝負は始まっているといえます。例えば先日何気なく立ち寄った小さなスーパーに「1個105円 2個買うと210円」という手書きの値札がありました。危うくお得感を抱いてしまうところでしたが、油断は禁物です。1個105円なら2個210円なのは当たり前のことです。そんな声高にアピールすることではありません。こっそりと仕掛けられた店主の「ボケ」と言っても過言ではないでしょう。間違いなくツッコミどころです。また、休日に公園を歩いていた際、イヌを散歩させているご婦人を見かけたのですが、着ているTシャツが「ネコ」でした。

これらはほんの一例ですが、ともすると見落としてしまいそうな「日常の異変」をいかに他人より早く気づけるか、が一目置かれるツッコミになるためのカギになります。

【技】 相手との関係を理解すること

もう一つ大事なことは、自分と相手との関係性に即したツッコミを身につけるということです。何かボケとかハプニングが発生した際に、誰彼かまわず同じツッコミするのはいただけません。勝手知ったる仲なのか、初対面なのか。目上の人なのか目下の人なのか。ケースバイケースで用いる言葉は変わってきます。例えば、

「いやぁ暑くなりましたね。8月でこの暑さだと12月はどれだけ暑いんですかね。」

という古典的なボケがあったとします。これが同僚や友人であれば「なんでだよ!」と、強めの言葉でツッコミを入れても問題ありません。が、上司や初対面の人の場合は「いやいや、なんでですか。」という言葉に変わり、口調もソフトな感じが望ましくなってきます。いくら気を使う相手だからとはいえ、「そうですね。異常気象って言われてますから何が起きるか分からないですよね。」などと返すと、「あ、うん。まぁ、そうだけど…。」と、ボケた方が拍子抜けになってしまうので好ましくありません。

また、相手がかなりのお笑い好き、普通のツッコミでは満足しない。というような場合には「なんでだよ!」ではなく「南半球かよ!」などで返してあげるとよいでしょう。「8月と12月」「地球のこと」を汲んだうえでのツッコミになるのできちんと伝わると思います。

つまり、あくまでも相手が「ボケた」という事実を受け止めることで主導権が自分に移り、それを相手が受け止めやすい形で返すことにより「ボケ」と「ツッコミ」が成立します。これが基本技術です。この技術が随所で発揮されると、「あいつはきちんとツッコんでくれる。」とか「なかなか良い切り替えしをする。」というポジションが周囲に根付き、いつの間にかたくさんの人があなたに対してボケてくるようになるでしょう。「ツッコミ」キャラの浸透です。そしてこれを繰り返すことで会話も活性化し、リズムが生まれます。ツッコミは日常会話における潤滑油といえるかもしれません。

さて、次のページは心・技・体の「体」です。
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