暮らしの法律/金銭問題

消費者金融の利息の怖さ

借金をするとき、利息をどのくらい取られているか気にしたことはありますか?また、完済するまでそのくらいかかるかを考えたことはありますか?今回は、利息の怖さについて解説したいと思います。

酒井 将

執筆者:酒井 将

暮らしの法律ガイド

利息の怖さ

利息18%・月々5万円の返済の場合、334万円以上借りると一生返済できない

利息18%・月々5万円返済の場合、334万円以上借りると一生返済できない

先日、地下鉄に乗ったところ、とある大手消費者金融のつり革広告が目につきました。そこにはこんな記載がありました。「10万円を30日間(1ヶ月)ご利用の場合(実質年率18%)、利息は、約1500円です(正確には1479円)」。500円玉3枚の絵もありました。これだけ見ると、利息ってわずかだなあって思いますよね。

それなのにどうして、消費者金融からの借金がふくれあがって返済不能になる人が後を絶たないのでしょうか? この利息の怖さについて説明します。


毎月5万円の返済と仮定すると?

ところで、全国の世帯年収の中央値は約480万円だそうです(平均をとると550万円程度になるとのことですが、これは一部の高額所得者が平均をあげているからだと考えられます)。住居費や教育費など、人が生活するには費用がかかりますから、ここでは借金の返済に充てられる金額を毎月5万円としておきましょう。以下では、消費者金融からお金を借りて、毎月5万円ずつ返済した場合をシュミレーションしてみました。

■利息ゼロの場合

  • 50万円借りた場合・・・10ヶ月で完済
  • 100万円借りた場合・・・1年8ヶ月で完済
  • 150万円借りた場合・・・2年半で完済
  • 200万円借りた場合・・・5年2ヶ月で完済
  • 250万円借りた場合・・・4年2ヶ月で完済
  • 300万円借りた場合・・・5年で完済
  • 350万円借りた場合・・・5年10ヶ月で完済
■年利18%の場合
利息制限法の上限利率は、10万円以上100万円未満の場合、年利18%です。多くの消費者金融は、18%で貸付をしています。
  • 50万円借りた場合・・・11ヶ月で完済
  • 100万円借りた場合・・・2年で完済
  • 150万円借りた場合・・・3年5ヶ月で完済
  • 200万円借りた場合・・・5年2ヶ月で完済
  • 250万円借りた場合・・・7年10ヶ月で完済
  • 300万円借りた場合・・・11年11ヶ月で完済
借入れ金額が334万円を超えると、毎月5万円の返済では一生返済できません。

■年利29.2%の場合
以前は、消費者金融は出資法の上限利率である年29.2%で貸していました。その場合はこうなります。
  • 50万円借りた場合・・・1年で完済
  • 100万円借りた場合・・・2年4ヶ月で完済
  • 150万円借りた場合・・・4年7ヶ月で完済
  • 200万円借りた場合・・・12年半で完済
借入れ金額が、206万円を超えると、毎月5万円の返済では、一生返済できません。

これを見てわかると思いますが、借入れ金額が増えると毎月の返済に占める利息の割合が多くなり、元本がなかなか減らないので、返済までの時間がだいぶかかってしまうのです。そして、借金の額が200万円とか、300万円を超えてくると、消費者金融の高い利率では、一生かかっても返済できない事態になるのです。こうなってからでは、手遅れですから、多額の借金をしてはいけません。もちろん借金などないに越したことはないのですが、どうしても借金をしなければならないような場合でも、少なくとも年収の3分の1(世帯年収480万円の場合は、160万円)までにとどめるようにしましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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