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快適性が進化!高速夜行バスで一人旅

夜行バスというと、乗り心地はあまり期待できないのでは?という固定観念をもつ人が多いようですが、実際のところはどうなのか、弘前行きの夜行バスに乗って確かめてきました。その他、近年快適性が向上し、女性でも気兼ねなく利用できるようになった夜行バスの実態についてご紹介します。

塩田 典子

執筆者:塩田 典子

一人旅ガイド

東京~弘前間の夜行バス「ノクターン号」に、緊張の初乗車!

一人旅の交通手段として、日頃からよく活用している高速バスですが、実のところ、関東甲信越方面への昼便(片道2~3時間)を利用する場合がほとんど。つまりこれまで夜行バスを利用したことがなかったのですが、近年快適性がかなり進化したと聞き、青森県弘前まで高速夜行バスで旅してきました。

品川・浜松町と弘前・五所川原間を結ぶ、ノクターン号

品川・浜松町と弘前・五所川原間を結ぶ、ノクターン号

高速バスの魅力は、何といってもリーズナブルであること。特に弘前の場合、新幹線だと在来線を乗り継いで、片道5時間・1万7400円。飛行機だと青森空港からバスに乗り換えて片道2時間30分・3万1200円。今回私が乗車した弘南バスと京急バスが共同運行する「ノクターン号」の場合、品川バスターミナル(以下、BT)出発で弘前BTまで片道9時間15分・9900円(いずれも通常期)。比較してみると断然安いことが分かるでしょう。確かに時間はかかりますが、早朝到着するので1日有意義に使うことができ、宿泊せずに日帰りも可能。現地に1泊する場合でも、丸2日間充実した時間が過ごせるメリットがあります。

スーパーシートは後部の二列6席のみ。人気が高いので早めの予約を

スーパーシートは後部の2列6席のみ。人気が高いので早めの予約を

11月下旬のある日、浜松町BT22:15発の「ノクターン号」に乗車しました。こちらのバスの場合、発車から到着まで乗客が車外に出ることができません。ですので事前に必携すべきアイテムをリサーチし、携帯して行きました。

まずはペットボトル入りのお茶。車内は思いのほか乾燥するので水分は必需品です。そしてマスク。時節柄、密室では欠かせませんね? そして空気枕。飛行機に乗るときもそうですが、コレがあると随分首が楽なもの。さらに周囲の音が気になる方は、耳栓を用意しておくのもいいでしょう。スリッパと膝掛け、おしぼりは装備されています。暖房はきいているものの、この時期は特に防寒対策は必須です。

スーパーシートはリクライニングの角度が大きく、足乗せ台付きなので快適

スーパーシートはリクライニングの角度が大きい、ゆったりシート

今回私が利用したのは「スーパーシート」という特別席。こちらは乗車運賃に加えて3870円追加になるのですが、3列独立シートの標準席より快適性に優れています。後部に2列独立シートで6席配されていて、カーテンでぐるりと遮って個室風にすることができます。

 
足乗せ台に足を伸ばせば、快適そのもの

足乗せ台に足を伸ばせば、快適そのもの

シートはかなり深い角度までリクライニングでき、足を乗せる台まで付いていて、靴を脱ぎ足を伸ばすことができます。またプライバシーが確保できる上、リラックスできるよう配慮されています。

浜松町BT22:15発のバスに乗り込むと、閑散期の平日ということもあり、乗客はまばらで女性が大半。一人客も多く、出発直後に消灯となるので、車内はすぐに静けさに包まれます。読書灯を付けて大宰治の「津軽」を読んでいるうちに、うとうとしてきました。

 

弘前到着直前にカーテンを開けると、外は一面雪景色でした!

弘前到着直前にカーテンを開けると、外は一面雪景色でした!

走行中は3回ほど乗務員交代で停車しながら進みます。道路状態により時折、振動が気になることもありましたが、徐々に慣れていきました。後頭部への振動を防ぐためにも、空気枕があるとかなり楽です。

翌朝、目が覚めて窓を開けると、一面雪景色! 到着1時間前に起床して、揺れる座席でメイクに取りかかりました。カーテンに遮断されているので、化粧品を広げても周りの目が気にならず、完璧に仕上がりました。

 

早朝訪れた弘前高専にはうっすらと雪が。紅葉も少し残っていました

早朝訪れた弘前公園にはうっすらと雪が。紅葉も少し残っていました

7:15に弘前BTに到着。この日は宿の送迎バスの時刻15:00まで、思う存分弘前観光ができました。ただし気を付けておきたいのは、早朝到着なので大半の施設が開館する9:00頃まで、いかに時間を費やすかということ。私的には、喫茶店でモーニングをゆったりいただいたり、弘前公園をぶらぶらと散歩するのがおすすめです。

 

明治37年築の青森銀行記念館。ルネッサンス様式の美しい建物です

明治37年築の青森銀行記念館。ルネッサンス様式の美しい建物です

弘前の中心部は、健脚であればほとんどの観光スポットを歩いて回ることができますが、市内を100円バスが循環しているのでそちらを利用するのも便利です。

帰りは、翌日の22:00に弘前BTを出発。夕飯を兼ねて弘前のビストロでワインを飲んでおいたところ、ぐっすり安眠できました。程よい酔いも夜行バスには必要?なのかもしれませんね。

浜松町に到着したのは翌朝6:30。7:00到着予定だったのですが、少し早く着きました。早起きしたので、その日も1日有意義に使えました。会社員の方であれば、行きは仕事を終えてからバスに乗り込み、帰りはバスを降りたその足で仕事へ向かえるというメリットもあります。

ちなみに、あくまでも安さで選ぶなら、上野と弘前を結ぶ夜行バス「パンダ号」もあります。こちらは往復1万円という破格の安さ。ただしこちらはトイレの付かない観光車両タイプとなります。

弘南バス
TEL:0172-32-2241
・ノクターン号下り便:品川BT発22:00、浜松町BT発22:15、弘前BT着7:15、五所川原着8:15
・ノクターン号上り便:五所川原発21:00、弘前BT発22:00発、浜松町BT着7:00、品川BT着7:15 *それぞれ横浜便もあります。
・ノクターン号料金:浜松町(品川)↔弘前 片道9900円、往復1万7500円。スーパーシートの場合は通常運賃に+3870円。

今回乗車した「ノクターン号」以外にも、長距離夜行バスは東京から各地に向けて出ています。ここでご紹介する高速バスは、いずれも(車両により多少異なるものの)基本的には独立3列シートでスリッパや膝掛けなどが用意されており、快適性の点で定評があります。

●東京・池袋↔盛岡「ドリーム盛岡」(JRバス関東ほか)
●東京↔富山・金沢「ドリーム金沢号」(西日本JRバス
●東京・新宿↔高松/松山/徳島/高知「ドリーム高松号/松山号/徳島号/高知号」(JRバス関東
●新宿↔博多「はかた号」(西鉄高速バス

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