年金

あなたの理想の老後を送るには?~海外生活編(2ページ目)

新しい土地で第2の人生を送るリタイアメントプラン、海外生活編です。憧れの外国で第2の人生を送るために必要な社会保障の手続き(医療保険や年金の受給など)をご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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海外生活と日本の社会保障制度~公的年金

渡航前にはいろいろな手続きが必要です

渡航前にはいろいろな手続きが必要です

次に公的年金の手続きをみていきましょう。滞在期間が数ヵ月程度の場合は、公的年金に関する手続きは特に必要ありませんが、リタイアメント・ビザなどによるロングステイでも、滞在期間が1年を超える場合は年金を海外に送金する手続きをとることが一般的です。海外送金の手続きは以下のように行います。
 
  1. 住所地の市区町村で「海外転出届」を提出し、「転出証明書」を発行してもらう
  2. 最寄りの社会保険事務所で「年金の支払いを受けるものに関する事項」用紙に必要事項を記入し、転出証明書・銀行口座が確認できる書類を添付して提出する

出国前に上記の手続きをとっておくと、年金は指定した海外の銀行口座に2ヵ月に1度、その時点の為替レートで換算した金額が振り込まれます。

海外で年金を受け取る場合、年1回、現況届の提出が義務付けられています。現況届には、滞在先の日本領事館が発行する「在留証明書」を添付しなければなりません。現況届の提出を怠ると、年金の支給が差し止めされることがあるので注意しましょう。

また、「夫が会社員。妻は専業主婦で、夫より年下」という夫婦の場合、夫は厚生年金に加入する第2号被保険者、妻は第3号被保険者ですが、夫が60歳で定年を迎え厚生年金の被保険者資格を喪失すると、妻は第3号被保険者から第1号被保険者に被保険者の種別が変わります。定年後、日本で生活する場合は、妻は60歳になるまで第1号被保険者として国民年金に加入しますが、海外に住所を移すと第1号被保険者の資格を喪失します。このため、国民年金の加入期間が短くなり、65歳から支給される老齢基礎年金の支給額が減額されます。もし、国民年金に加入して老齢基礎年金の支給額を確保したい場合は、海外から国民年金に任意加入することができます。

海外からの任意加入は65歳まで可能で、毎月の保険料は第1号被保険者と同額(14,660円、平成21年度額)です。海外に転居するまでに住んでいた住所地を管轄する社会保険事務所で任意加入の手続きをとりますが、毎月の保険料は国内の親族が代理で納付するか日本国内に開設している預貯金口座からの口座振替で納付することができます。
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海外生活で必要なその他の手続きは?

ご案内した通り、老後を海外で過ごす場合でも日本の医療保険や年金制度など所定の手続きをとれば利用できる場合があります。市区町村役場や移住を希望する国の大使館などで確認してみるとよいでしょう。

また、老齢年金は支給時に所得税や住民税が天引きされます(住民税の天引きは平成21年10月から)。海外への転出届を提出すると原則住民税の負担はなくなりますが、所得税に関しては手続が必要です。二重課税を防ぐために日本と租税条約が締結されている国に移住する場合は「租税条約に関する届出書(退職年金・保険年金等に対する所得税の免除)」を社会保険事務所に提出しておきます(租税条約締結国は財務省HPで確認できます)。

老後を海外で過ごす場合は、事前にいろいろな手続きが必要ですし、国によって事情が異なるので住んでみたい国についてできるだけたくさんの情報を集めておくことが大切でしょう。楽しい海外生活を送るためにも、自分の住みたい国を十分理解して準備しましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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