文化祭少し前になると研1から、楽屋でのマナーなどを教えてもらう。
ここを通ってはいけない、
ここに入ってはいけない、
階段は一列で左側を歩く、
挨拶は“本公演中は目礼”“終演後はお疲れ様でした”、
本公演の邪魔にならないように、
早替り部屋の衣装などには絶対触れてはいけない、
トイレは奈落のを......
山盛りの注意事項。
文化祭に出演するだけでも相当緊張しているのに、楽屋での過ごし方……これには参った。
文化祭当日の楽屋入りは、ちょうどショーの真っ最中。“劇団の方”が早替りでドタバタしている。
そこを決して顔を上に上げず、ただひたすら目礼をしながら3階楽屋まで上がる。これだけで寿命が縮む。
Close Up!「旧・宝塚大劇場はこ~んなカンジ」の3階のHが本科生の居場所だが、ここでもほとんど私語はなく、慣れない化粧に四苦八苦。
“劇団の方”にお化粧をしてもらう人もいるが、自力の子は「こんな顔で舞台に出ていいわけ...?」しかし時間がない。
早替りも苦労した。
超・早替りの生徒を除いて早替り部屋は使えない。衣装部も使えない。
なぜなら本公演の“劇団の方”の衣装で一杯だから。もし!何かのアクシデントで“劇団の方”のお衣装にナニかあっては大ゴトだ!
だから早替りは奈落まで走る。遠い、暗い、一度に40名が着替えることもある。
カツラなんてちゃんと被っていられない。
そこから上手か下手に行こうと思っても、どっちが上手なのか下手なのかわからない。
だって、初めての経験なのだから。
とにかく“わけがわかんないー!”で文化祭は終わってゆく。
そんな中でも楽しいこと、うれしいこともいっぱいある。同期生全員でひとつの舞台を作るうれしさ、感動。
初めて芸名を披露できるのも文化祭だ。
楽屋には差し入れも入ったりして、ちょっとしたスターの気分。化粧前も使える(楽屋着は浴衣だが...)。