1986年 『散る花よ 風の囁きに聞け』藤波純次郎
1990年 『秋…冬への前奏曲』新人公演初主役
(本役・大浦みずきさん)
1992年 『けれど夢の中で めざめたときに』
バウホール公演初主演
1999年 『夜明けの序曲』で花組トップスターの座に。
彼女が直球で投げかけてくる役の人間像や表情は、観ている者の心を爽やかにする。楽しさもおかしさも苦悩も涙も“自然”に伝えてくれるのが、彼女の最大の魅力だと私は感じる。そこにトップスターたるべき人が持ち合わす風格・気品・華やかさ・美しさ・男役の色気が加わり、さらに彼女の天性の明るさが舞台を満開にするのだ。
代表作とされるのが――
1996年『ハウ・トゥー・サクシード』バド・フランプ
1997年『失われた楽園』エリオット・ウォーカー
2000年『源氏物語 あさきゆめみし』光 源氏
『~夢と孤独の果てに~ルートヴィヒ?世』etc。
特にルートヴィヒ?世という人物の一生を演じた確かな演技は絶賛された。
愛華みれ――という人が私の心に飛び込んできたのは、共演したバウホール公演「散る花よ 風の囁きに聞け」。谷 正純先生・作、朝香じゅんさん主演の日本物。専科の方も含め、出演者の数は多かった。彼女はその時わずか研2で薩摩藩士“藤波純次郎”という役を演じた。大抜擢。洋物ならともかく、立ち居振舞いから衣装の着付けまで、何かと下級生には慣れないことが多い。しかもタモちゃんにとってはこれが初めての日本物。化粧の仕方すら知らなかったわけだ。
しかし彼女の稽古をそばで見て感じた。わずか研2で風格と気品を出せる人……。本人が語っているのを何かで読んだが「あの役に出会わなければ、今の愛華みれはいません。」――。泣き出す人もいるぐらい厳しい稽古だったあの作品が、スター愛華みれへのステップだったと私も思える。もちろんそれにこたえた彼女がいたからだ。