1985年花組公演『愛あれば命は永遠に』で初舞台を踏んだマミちゃんは、その後花組に配属されます。当時のトップスターは高汐 巴さん。二番手に大浦みずきさん、三番手に朝香じゅんさん。さらに瀬川佳英さん、幸 和希さん、安寿ミラさん、真矢みきさんとスターが勢ぞろいの花組でした。11月に退団が決まっている花組トップのタモちゃんこと愛華みれさんもマミちゃんと同期で、同じ時代を過ごしています。
下級生の時からトップスター候補と噂され、早くからトップスターになる人もいますが、マミちゃんはそうではありませんでした。新人公演の、最初で最後の初主役は研7の時の『ヴェネチアの紋章』(本役・大浦みずきさん)。バウホール公演初主演は研9の時の『ル・グラン・モーヌ』。どちらかといえば遅咲きと言えるでしょう。
1993年に月組に組替え。その時の月組トップはマミちゃんより2年下の天海祐希さん。これだけをとっても、彼女が決して順風なスターへの階段を上っていたとは思えません。しかし1997年『EL DORADO』でついに彼女は、ファン待望のトップスターになりました。
その後の真琴つばさは……あえて私が説明するまでもありませんが、様々な役を「真琴つばさ」でみせてくれました。ハスキーな声が魅力なクールな男役。個性豊かで斬新。
再演作品にあたる『WEST SIDE STORY』のトニー、『うたかたの恋』のルドルフ、『ノバ・ボサ・ノバ』のソールや、色で例えると“黒”や“赤”のイメージの彼女のオリジナル作品も、彼女の個性が強く感じられました。
「真琴つばさ」にはいろんなサブ・タイトルが付いています。中国公演を彼女がトップで行ったことや、NHKの紅白出場をはじめメディアでの活動も多かったことから〈宝塚の広告塔〉。「徹子の部屋」「THE夜もヒッパレ」のライブなどはまだ記憶に新しいでしょう。
また1000Days劇場、新東京宝塚劇場のこけら落とし公演を彼女がトップで行ったことから〈こけらのマミ〉。そしてもうひとつは〈トップ・オブ・トップ〉――。トップスターの中のトップスターという、最高の呼び名です。