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退団――宝塚を去る日の思い(2ページ目)

憧れて入った宝塚。しかし退団したならもう二度と宝塚の舞台に立つことはありません。堪らない淋しさを感じながらも退団する生徒たちは、最後の最後まで自分の力を出し切ります。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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そして千秋楽の最後の最後には、退団者全員が一人一人ご挨拶をします。衣装は通常、黒の紋付に緑の袴ですが、トップ男役さんは黒の燕尾服を着ることも。

この時ばかりはトップスターも入団してわずかの下級生も同じ。同期生や組子(同じ組の生徒)からいただいた花束を持ち、一人一人がセンターの0番のスタンドマイク前で退団の挨拶をします。これが舞台上での最後のセリフ……最後の見せ場……。もう二度とタカラジェンヌとして宝塚の舞台に立つことはありません。

さて2001年の後半は大変なことになってます。5組中3組のトップさんが退団するという異例の事態。そしてトップさんといっしょに退団してゆくたくさんの生徒たち。どれだけのファンの方々が泣くのだろう……。「○○さんを知って宝塚が好きになりました」「○○さんが私の青春でした」。

ファンの方々はたぶん、カレンダーの“その日”――千秋楽まで、大好きな生徒さんを力いっぱい応援し支え、だけど淋しさや複雑な思いは止められません。それは退団者本人も同じ事。

自分で決めた退団とはいえ、千秋楽までの時間は本当につらい。色んなことが思い出されて「やめるの、やめちゃいたい…」なんて思ってしまいます。普段なら感じなかったことや回りの優しさに敏感になり、ポンと背中をつつかれたら涙が出そうになってしまう。フィアンセもいて幸せ絶好調の人でも、こんな思いになる。宝塚って不思議なところです。それだけ密度の濃い時間を過ごせる場所ということなのでしょうか。
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