凹型パターン
「視聴者の興味が長く続かなくなった」世の中、重厚長大から軽薄短小に変わったといわれますがこれはなかなか検証が難しい問題です。2クールのドラマの視聴率が後半悪くなるというような都合のいいデータはありません。NHK連ドラは4回とか6回とか短めですけど、それが民放の連ドラよりいいともいえません。他のフィクションメディアを考えても小説が長編から中・短編になっているわけではないし、映画の上映時間も変わっていません。コミックは明らかに連載期間はどんどん長くなっています。
ただヒットした連ドラの視聴率は最初が高くて中盤は落ちるけど最終回に向かって終盤盛り上がる凹型パターンが多いということはあります。例として08年1~3月期で最もヒットした『薔薇のない花屋』の視聴率をグラフにしていましたが、見事に凹型です。
最初から最後まで高かったり尻上がりに上がってくるなら長く続ける方がいい。しかし凹型の場合は最初と最後を多く、その間を少なくするために短いサイクルで新ドラマを投入した方がいいといえます。
また「打ち切り」ともからみますがヒットしなかったドラマは早めに追われるというのもメリットです。
勝利の方程式
以上、5つの理由を検証してみましたが、どれが決定的とはいえませんが、こういった理由を総合して1クールドラマ中心になったんだと思います。短サイクルになったのは「興味が長く続かなくなったから」でそれが1クール毎になったのは「改編期」や「俳優のスケジュール」「スポンサー」などつくる側の都合で。
また、この20年で最も成功したドラマ枠である月9が早い段階で1クール体制になったのも理由かもしれません。月9枠の成功を追いかけようとした時、無意識なのかそれとも意識してか同じにしているということもあるんではないでしょうか。
そして、その月9の最新作『CHANGE』が自ら築いた勝利の方程式を崩して5月スタートにしたのは興味深いですね。というのも1クール毎になった理由はほとんどつくる側の理由だからです。「俳優のスケジュール」はテレビ局と俳優側、「打ち切り」はテレビ局、「スポンサー」はテレビ局とスポンサー企業、「改編期間」も長くするのは他局の新番組をつぶす狙いだからテレビ局の都合。視聴者側の理由は「興味が長く続かなくなった」ぐらいです。