なぜクールというのか?
クールはかなり一般化した業界用語ですが、そもそもの語源ははっきりしてません。朝日新聞のコラム「ことば力養成講座」でクールを扱った回によると、フランス語の「cours(講義、流れなど)」由来説が有力だけど、フランスでは日本のような用法はないようです。元TBSのプロデューサー・ディレクターで制作会社・カズモの大山勝美社長は「結核治療でストレプトマイシンを1クール試すなどといった」とドイツ語の「kur(治療期間など)」が元ではないかと、との見方をしています。
日本のテレビ局がクール単位で考えるようになったのはプロ野球、巨人戦中継が大人気だったことが大きいのではないかと思います。野球中継のシーズンは4月~9月。それにあわせて上半期と下半期で大きく番組が違い、さらに下半期は年末年始をはさんで3ヶ月単位に。そうすると上半期も同じく3ヶ月単位にそろえた方が考えやすい、ということで春夏秋冬の1クール毎になったんではないかと。
いつから1クール別になったのか?
月9 オリジナルサウンドトラック ベストセレクション |
そこで過去のドラマの放送期間から、いつごろ現在のようなクール毎の体制になったのかを調べて見ました。そこで浮かび上がってきたラインは「88年」、変わったきっかけになったのはフジ系月曜21時枠、いわゆる「月9」です。
トレンディドラマとともに
月9が始まったのは87年で『アナウンサーぷっつん物語』などいわゆる業界ドラマでヒットします。その87年は『男が泣かない夜はない』が5/18~7/27などクール毎に収まっていません。ところが翌88年になるとトレンディドラマ第一作『君の瞳をタイホする!』が1~3月放送で、以降『CHANGE』で崩されるまで20年、1クール毎の放送を続けています。
他にも『男女7人』や『パパはニュースキャスター』などのヒットがあったTBS系金曜21時枠は、87年は長渕剛主演の『親子ジグ・ザグ』が4/10~8/21とクールの壁を破っていますが、88年以降はこの枠が終了する01年まで1クール毎の放送になります。