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WOWOW初連ドラ『パンドラ』はフジの進化形(2ページ目)

WOWOWが初めて制作する連続ドラマ『パンドラ』には監督としてなぜかライバル関係にあるはずのフジテレビの現役社員が参加。その影にはフジテレビドラマ黄金時代を築いたあの人が?

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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共同テレビ

こうなった理由は『パンドラ』の制作体制にあります。主体はWOWOWですが、制作協力として共同テレビが入っています。

共同テレビはフジテレビ系列の制作会社で『IQサプリ』など情報・バラエティ番組を制作していますが特にドラマ制作が有名。フジテレビでは『世にも奇妙な物語』『ボクたちのドラマシリーズ』など変わった味わいの路線、『ショムニ』『お水の花道』などのコメディ、『古畑任三郎』『王様のレストラン』の三谷幸喜作品などさまざまなタイプのドラマを制作。直近の08年1月からの共同テレビドラマは『鹿男あをによし』もラインナップに加わりました。

フジテレビ本社中心でつくるドラマが「月9」など本流なのに対して共同テレビ中心につくるドラマはどちらかというと反主流派。タイプの違ったドラマをつくる本社制作と共同テレビが両輪となってフジテレビドラマのヒットを生み出しています。

フジだけじゃない

飯田小夜子役の小西真奈美
飯田小夜子役の小西真奈美
また制作するのはフジテレビのドラマだけではありません。テレビ朝日が一番のお得意様で『黒革の手帖』から『交渉人~THE NEGOTIATOR』まで米倉涼子主演のシリーズなどの制作に参加。さらにフジテレビ最大のライバルのTBS、そして日テレ、テレビ東京と民放全系列を制覇。さらにNHKでも『トキオ 父への伝言』など制作しています。

ただフジテレビ以外の放送局で共同テレビ制作では、これまで監督・演出していたのは共同テレビのスタッフ。フジテレビ社員が他局で監督するという理由としては足りません。

フジテレビドラマの全盛時代をつくった

もう一押しの理由は共同テレビの社長人事。07年6月にフジテレビドラマを現在のように育てた山田良明が社長に就任したというのが大きな要因ではないかと思います。

80年代はドラマといえばTBSとNHKと日テレが上位に立ち、フジはその後というポジションでした。『アナウンサーぷっつん物語』など共同テレビがつくる「業界もの」や『ヤヌスの鏡』など大映テレビ作品はヒットしていましたが、フジテレビ本社でつくるドラマはさっぱり。

その状態をなんとかしようと立ち上がったのが、山田良明プロデューサとその部下だった大多亨P。「いままでにないものをつくろう」とそれまでのドラマが主に家族向けだったのを、ターゲットを若者に絞った『君の瞳をタイホする!』『抱きしめたい!』にはじまるトレンディドラマを制作し大ヒット。現在に続くフジテレビドラマの時代を確立したのでした。

また、それ以前には『北の国から』最初の連ドラ版に演出スタッフとして参加した経験が。そのためじっくり作る本格派ドラマも重視し『白線流し』や『Dr.コトー診療所』も制作をバックアップし、硬軟両方のドラマをつくれる人です。なお、ドラマ以外でも編成局長時代に日本テレビから視聴率王の座を奪取する実績をあげ、フジテレビでは常務取締役までいき、昨年退任して共同テレビ社長となりました。

次のページではトレンディドラマもチャレンジだったようです。
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