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号泣必至『ひとつ屋根の下』の魅力(2ページ目)

平成の「泣けるドラマ」といえば『一つ屋根の下』!ストレートに「愛」を語りにくい現代に感動ドラマをつくるためよく考えられていて感涙必至です。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

みんなで共通の目的を持つ

ドラマは7年前に両親が事故死して兄弟はバラバラになっているところから始まります。

クリーニング屋を開業することになったあんちゃんこと長男・達也(江口洋介)はみんなを集めようと訪ね歩きますが、四男・文也(山本耕史)はバイク事故で車いす生活になり引きこもり気味。次女・小梅(大路恵美)は里子にいった先の子にいじめられ、傷害事件をおこして鑑別所に入った過去がある三男・和也(いしだ壱成)は、今も偏見に悩みます。長女・小雪(酒井法子)は上司と不倫中、次男・雅也(福山雅治)は病院の養子として期待されているけどそのため他の兄弟たちに対してうしろめたい気持ちを持ち、事情は違いますが、それぞれに不幸。

そんなバラバラになった状態から、兄弟を同じ目的に向かって行動させることで家族の一体感を描写しています。

たとえば大学進学の資金稼ぎのためキャバクラでアルバイトする小梅をとめるエピソード。あんちゃんと和也は小梅を守るためキャバクラで小梅を指名し続けます。しかし、それも限界があり、金が尽きて他の客の指名が……。ガックリしているところ、指名したのはまだ兄弟たちと距離をとっている雅也でした。このことにより小梅は一緒に暮らすことになり、雅也も一緒に暮さないまでも、距離が縮まったことを感じさせています。

またパート1の最終回も兄弟それぞれに問題を抱えている中、あんちゃんはマラソン大会に出場し、一時トップを走るものの足の故障によりヨレヨレ。それでも諦めずゴールを目指す姿をテレビで見た兄弟たちがあんちゃんの元に集まります。

こうした同じ目的を目指すことにより「家族」は一つなんだということを印象づけています。

血のつながりだけじゃない

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『酒井法子 Best Selection』(ビクターエンタテインメント)
小雪は兄弟とは血がつながっていません。それを知っているのは本人と長兄・達也と次兄・雅也、それに幸夫おじさん(山本圭)のみ。

ところが、下の兄弟たちにもそれが知られてしまい、態度がよそよそしくなります。小梅は家族じゃないのに負担をかけるのはおかしい、と家事を手伝いますが失敗ばかりで逆ギレ。さらに、雅也も小雪への愛を告白し、断られたため家を出ると家族全体がギクシャクしてしまいます。追い打ちをかけるように小雪も責任を感じて家出。

これを立て直すために、あんちゃんは貧血で倒れた小雪に輸血し「血が通っているということだ」と説得します。さらに、小雪が小梅の大学進学のために秘かに貯金しているなど誰よりも兄弟のことを考えているんだ、ということをあんちゃん節が炸裂します。血が通わない者を迎え入れることにより、家族とは血が通っているだけのことじゃない、思いやる心なんだ、ということを示し、これによって兄弟の関係性を強めています。


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