勝負はトリックじゃなくトークミステリーといえば犯人を見つけていくパターン、推理小説でいうところの「本格」形式が主流です。しかし連ドラで一話完結形式の場合は『金田一少年の事件簿』など原作ものでは成功例がありますが、オリジナル作品での成功例はあまりありません。これはおそらく毎回、トリックを考えるのがミステリーの専門家でもない脚本家にとってはたいへんだからでしょう。それより一話完結の連ドラ向けなのは、犯人が最初からわかっている「倒叙」形式か、わかってないまでもほとんどキャストを見れば犯人がわかるというもの。 この源流はアメリカのテレビシリーズ『刑事コロンボ』。ロサンゼルス・ビバリーヒルズ界隈を中心に「勝ち組」が起こした殺人事件をコロンボが風采のあがらない姿で油断させながら犯人を心理的に追いつめるというスタイル。トリックよりも会話がメインなのがテレビドラマ向きです。 パクリではなくオマージュこのパターンをそのまま使ったのが『古畑任三郎』。主演が田村正和だから風采があがらなくはないけど、犯人は成功者で会話で対決しながら追いつめていくというスタイルはまったく同じです。『TRICK』は犯人は最初からわかってるわけではないけど、ほとんどの事件でもろわかり。探偵役の貧乳の自称天才マジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)とワトソン役・態度はでかいが気は小さい物理学者・上田次郎(阿部寛)のコンビもますます冴えているんだか冴えてないんだかわからなくなっています。 そして『時効警察』はさらにゆる~く、すべてのレギュラーメンバーがボケているとぼけたドラマに。『TRICK』に続くシリーズになることを期待したいところですが、その場合の難点は時効事件を扱うため殺人なら15年前を描かなくてはいけないという縛り。 若い女性が犯人の場合、15年前と現在を両方こなせる女優が限られてきます。すでに永作博美、池脇千鶴という日本で一、二を争う童顔女優を使ってしまったので後が苦しそう。 2時間サスペンスの元でもあるちなみに『刑事コロンボ』、アメリカでも1時間を越える単発ドラマを確立したシリーズで、このヒットの影響で「土曜ワイド劇場」が生まれたという2時間サスペンスの祖でもあります。土曜ワイド第一作『時間よ止まれ』は風采の上がらない刑事(渥美清)が時効目前に今は金持ちになった犯人(小林桂樹)を追いつめるというコロンボを思わせるストーリーでした。 「踊るレジェンド」の次は「ドラマレジェンド」さてフジテレビは「ドラマレジェンドスペシャル」として過去の名作ドラマをプライムタイムに放送することを発表しました。その第一弾は『古畑任三郎 VS SMAP』。SMAPが架空のアイドルグループ「SMAP」として犯人役として出演するという作品。 他にシリーズの名場面や古畑任三郎の人間像を浮き彫りにする企画を盛り込むなど単なる再放送ではないそうで、ドラマ自体の再編集の可能性もあるとか。 放送は10月9日(体育の日)の21時から。 |