日本のテレビドラマ制作者で世界的に最も評価されているのは誰か?いろいろな意見はあるでしょうが「世界的な賞を多く獲得した」という観点ならまちがいなく元NHKの佐々木昭一郎Dです。

1936年生まれで。60年立教大学経済学部卒業後にNHKに入局。当初はラジオドラマの演出を手掛け同年齢の寺山修司とも仕事を。70年代からテレビドラマに進出。

佐々木ドラマの特徴は。プロの俳優でない一般の若者を主演として起用。日本でも外国でも主演一人を連れて行って、実際に街に生きる人々との出会いをオールロケ・フィルムで撮影。それを編集により過去と現実、夢などがないまぜになる叙情的な独自の世界で「映像詩」と呼ばれています。またラジオ出身だけに「音」が重要なテーマとなっています。
世界で絶賛され、モンテカルロ国際テレビ祭、エミー賞、イタリア賞、プラハ国際映画祭などで多くの賞を受賞。
また日本でも是枝裕和の『幻の光』や『誰もしらない』、河瀬直美の『萌の朱雀』など佐々木昭一郎の影響が感じられ、実際に「レスペクトされた」といっています。

しかし過去にビデオ化された作品は少なく、DVD化はまったくなし。NHKも近年「テレビ50周年」の時や「NHKアーカイブス」などの枠で断片的に放送されていましたが、それ以外は各地で積極的に行われている草の根的上映会のみ。

しかしついに状況は変わりました。6月にスカパー!の日本映画専門チャンネルで「RESPECT 佐々木昭一郎」として全作品が放送されます!必見の全作品を年代順(放送順)に紹介していきます。


初期:評価の確立


『マザー』(1971年制作)

出演:横倉健児、クリスチャンヌ・ジャヌレー、正津房子、ミナ・ガドゲー、神戸の人々

母のない子・ケンが祭りの神戸を舞台にさまざまな国籍の人と触れあいながら母のイメージを求める。
一般にはこれがテレビドラマデビューとされていますが、厳密には70年に『おはよう、ぼくの海』という作品ありました。しかし不評で、そのため素材はそのままに編集をやり直したのがこの作品です。

モンテカルロ国際テレビ祭ゴールデンニンフ賞受賞。

放送日:6月 5日(月) 20:00~
再放送:6月12日(月) 6:00~、6月16日(金)26:20~、6月19日(月)14:00~


『さすらい』(1971年制作)

出演:渋沢忠男、友川かずき、栗田裕美、笠井紀美子、キグレ・サーカスの人々

施設を去った少年が東京や海辺の街、サーカスなどをさすらい、人々の出会いの中で成長していく姿を描く。
後にアイドルになる栗田ひろみ(裕美)のデビュー作。池袋の西武百貨店で彼女をみつけて、中学の前で待ち伏せして口説き落としたという、いかにも内気そうな佐々木Dですが、今ならストーカーでつかまりかねないようなことをしています。

放送日:6月 6日(火) 20:00~
再放送:6月13日(火) 6:00~、6月17日(土)25:40~、6月20日(火)14:00~


『夢の島少女』(1974年制作)

出演:中尾幸世、横倉健児、友川かずき、若林彰、八森の人々

少年は川に倒れていた少女に出会う。心に傷を負っていた少女は祖母と暮らした海のある故郷や東京での孤独な日々の記憶を反芻し、少年は少女の存在が心の支えとなっていく。ある日少女は姿を消すが再び夢の島で出会う。

中期のメイン女優・中尾幸世が初登場、放送当時は評価が分かれた作品。

放送日:6月 7日(水) 20:00~
再放送:6月14日(水) 6:00~、6月17日(土)27:15~、6月21日(水)14:00~


『紅い花』(1976年制作)


原作:つげ義春
脚本:大野靖子
出演:草野大悟、沢井桃子、嵐寛寿郎、藤原鎌足

佐々木作品としてはめずらしくスタジオ主体でビデオ撮影と通常のテレビドラマ形態で収録された異色な佐々木作品の中での異色作。
『紅い花』以外にも『ねじ式』などつげ義春作品が元。東京大空襲で行方不明になった妹が山の中、古本屋の娘などいろいろな姿であらわれる、つげワールドの佐々木昭一郎的解釈作品。

芸術祭大賞受賞。エミー賞優秀作品賞

放送日:6月 8日(木)20:00~
再放送:6月15日(木) 6:00~、6月18日(日)8:30~、6月22日(木)14:00~


次は名作ぞろいの中期作品