うまい・はやい・やすい?


佐々木守、脚本家として内容がいいのはもちろんですが、制作側にとってありがたかったのは筆が速いということ。
それを示すのが『柔道一直線』を書いたときのエピソード。前番組が低視聴率で3ヶ月打ち切りが決まり、急遽『柔道一直線』の企画が決まり、佐々木守が呼ばれてすぐに書いてくれ、と依頼されました。
返事は「でも柔道のことまったく知らないですよ」。それでも柔道の解説本とルールブックを手に一日旅館にカンヅメになって、それで二話分をあっというまに書いたのだから間違いなく速い。

ちなみに柔道だけではなくスポーツ全般すべて苦手で水島新司の『男どアホウ甲子園』の原作を書いた時も野球のことを全く知らず、連載後しばらくしての打ち合わせで水島新司が「佐々木さん、失礼なことを聞きますがもしかしたら甲子園球場は大阪にあると思っているのでは?」「違うんですか!」「……」。

でも知らないがゆえに常識にとらわれずに破天荒な物語が書けるのだからさすがです。


ドロドロしすぎ


さて、最近の昼ドラ。ドロドロがウリの東海テレビ枠ですが、『牡丹と薔薇』以降、それに並ぶものが出てきていません。見てる印象としては波瀾万丈なパターンをなぞってはいるけど奥に秘めた人間の感情が感じられないような気がします。

やはりガイド記事「かなり濃すぎるで『牡丹と薔薇』」で書いたように中島丈博や今回取り上げた佐々木守など、自らの中に濃いものをもっている脚本家が担当しないとドロドロは描ききれないのかもしれません。それに気づいたのか1月からは『新・風のロンド』、原作ありですが中島丈博が95年に脚本を担当したものの再ドラマ化です。

10月から11月にかけては東海テレビ枠の裏、TBS系「ドラマ30」枠も一条ゆかり原作『デザイナー』、さらに13時からの「愛の劇場」枠まで『真珠夫人』と同じ菊池寛原作の『貞操問答』まで昼ドラ全部ドロドロ体制となりました。
東海テレビ枠とドラマ30枠は裏番組だから普通どちらかを選ぶにしても、愛の劇場枠は続けてみる人もいるんだからいつものホームコメディでいってほしいところです。


コントかよ


しかし、その『貞操問答』かなりいけてました。最初の「貞操編」ではずっとヒロイン・新子(さくら)が一方的にいじめられて、見てる方も我慢を強いられましたが、中盤の「問答編」では急展開、終盤の「復讐編」では新子が復讐に成功し、前川家の豪邸と落ちぶれて長屋住まいの南條家の住まいが入れ替わるという、そこまでやるか?のほとんどコントに近いような展開を見せてくれました。

ドラマ終了後、菊池寛の原作を読んでみると、キャラクターは共通だけど原作はこんな復讐劇じゃないんですよね。このあたりは制作が『もう誰も愛さない』などのドロドロ・ジェットコースタードラマのAVECらしいところです。

筒井真理子・山下容莉枝の二女優の競演(怪演?)も見事でした。




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