『水中花』(79年)
速記者のヒロイン(松坂慶子)が妹の借金を払うため夜はコーラスガールとして働くようになる、というラブサスペンスですが、最大のみものはオープニングタイトルバックと劇中に主題歌の「愛の水中花」を網タイツ姿の松坂慶子が歌い踊るシーン!当時27才の松坂慶子の魅力爆発で、四半世紀たってもそのインパクトはまったく衰えていませんでした。
この『水中花』はTBS系木曜22時の「木曜座」枠で放送。前年に始まった木曜21時の『ザ・ベストテン』にも「愛の水中花」がランクインして大いに盛り上げてドラマになだれ込んでいたものです。
未見ですが、今年のNHK『思い出のメロディー』でも歌ったそうです(さすがに網タイツはバックダンサーだけだったそうですが)。
また竹野内版『人間の証明』でも郡恭子(松坂)が選挙活動の一環としてパーティでカラオケを歌いにいこうとするシーンがあり、歌うシーンそのものはなかったのですが、あれは視聴者に「『愛の水中花』を歌ったに違いない」と思わせる引っかけ?
これはぜひリメイクしてほしいですね。主演は藤原紀香だな…
(TBSチャンネルで水曜7時、水曜19時に記事掲載日時点で放送中)
代表作は…
さて『水中花』を見ながらふと気になったことがあります。「松坂慶子の代表作って、ひょっとしてこれなんじゃないか?」大河ドラマ『春の波濤』の主演はあるけど、明治ものでもう一つ盛り上がらなかったし…しかし松坂慶子ほどの大女優が網タイツで踊った『水中花』が代表作ではなんなんじゃないか?出世作ならともかく。
子役からやってるからデビューは『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ 』だし、懐かしテレビ番組で『ウルトラセブン』で宇宙細菌ダリーが体の中に入ってエクトプラズムみたいなものをはいているシーンがよくでてくるし、映画デビューはピンクがかった『夜の診察室』で若い頃は隠してたし…
と、松坂慶子が気の毒なのでそれで必死に思い出した結果、映画『蒲田行進曲』があることを思い出しました。これなら賞もたくさんとったし代表作としては申し分ありません。ああよかった、松坂慶子の関係者ではないけどよかった。
代表作を勝手に心配
それでついでに「基本的には主演、脇役になる場合にも特別出演になるような大俳優だけど代表作の決め手にかける」俳優というのを考えて見ました。やっぱり代表作がないと『いつみても波瀾万丈』に出たりする時なんか、困るじゃないですか.俳優名鑑をみながら考えると浮かび上がってきたのが十朱幸代と山本陽子。
十朱幸代は2時間ドラマ『朝吹里矢子』シリーズがありますが、92年までで新作がなくなってからかなりたつし印象が薄れてきています。映画でも『震える舌』でブルーリボン賞、『夜汽車』で毎日映画コンクールの主演女優賞を受賞していますが、いまいちインパクトにかける。
山本陽子で有名な作品というと橋田ホームドラマパターンが確立した『となりの芝生』で、これが代表作かなとも思いますが、あくまで橋田ドラマ、普通の主婦役で山本陽子本来の魅力とはいえません。
今度、米倉涼子でリメイクされる『黒革の手帖』で、そのリメイクを伝える新聞報道では山本陽子版のことを「楚々とした女性のイメージが強かった山本が新たな一面を見せ、多くの男性ファンを獲得、演技の幅を大きく広げる作品」と紹介していますが、当時大ヒットということもなかったし…
この二人が主として活躍したのは『水中花』も放送されていた「木曜座」とかフジテレビの「平岩弓枝シリーズ」のようなラブサスペンスの連続ドラマ。このパターンは今じゃ2時間ドラマに取って代わられ、スカパー!での再放送も「木曜座」は『水中花』がずいぶ初めてだし、「平岩弓枝シリーズ」もスカパー!のフジテレビ721ではやってくれません。このあたりをもっと放送してくれると評価も変わってくるような気がしますが。
二人とも舞台の仕事も多いので、代表作はこちらからもってきた方がいいのかな?