なぜテレビドラマ史上ナンバーワン女優かというと『阿修羅のごとく』と『岸辺のアルバム』の二つに主演したというだけで十分でしょう。
『阿修羅のごとく』はNHKのテレビ50周年の日の一日中記念番組で、四姉妹中三人の座談会(風吹ジュンが欠席、たぶん『年下の男』で忙しかった)+初回放送で二時間取り上げられました。
『岸辺のアルバム』はCSでTBSの過去の番組を再放送する「TBSチャンネル」が開局した際、目玉番組として真っ先に放送された、どちらもテレビドラマ史上に残る作品です。
この二つで足りなければ重要な助演の『うちのホンカン』『前略おふくろ様』を付け加えとこう!
向田邦子、山田太一、倉本聰とビッグネームの脚本家の作品に好まれたのは彼らのつくるリアル・ホームドラマにぴったりだったから。きれいだけど非現実的じゃない、故・山岡久乃は「日本のお母さん」と呼ばれましたけど、八千草薫は「日本の奥さん」ですね。奥さまではなく奥さん。近所にいるような気がするけど手は届かない。
いまでもその魅力はおとろえず三、四年前に「おじいちゃんの好きなタレント」というアンケートがあり、一位が藤原紀香で二位が八千草薫だったことがありました。一位に藤原紀香をえらぶおじいちゃんもお元気でなにより、ですけど、二位につける八千草薫もすごい。
そんな人気を反映して、入れ歯固定剤とか熟年女性用かつらのCMにも出演。一説によると小泉純一郎・現首相もファンだとか。