「四姉妹もの」の古典といえば洋はメグ・ジョー・ベス・エミーの『若草物語』、和は谷崎潤一郎の『細雪』が定番。最近ではTBSの『おとうさん』(飯島直子・中谷美紀・広末涼子・深田恭子)が記憶に新しいところです。
そしてNHKでは現在なぜか朝ドラ『てるてる家族』と月曜ドラマ『夢みる葡萄』で四女が主演の四姉妹ものを競演しています。
『てるてる家族』は子役から紺野まひる・上原多香子・上野樹里・石原さとみに変わるところ。『夢みる葡萄』は星野有香・三浦理恵子・上原さくら・菊川怜といずれも美人姉妹です。
そして新たなる四姉妹ものの古典が登場しました。『阿修羅のごとく』です。79~80年にNHKで放送されたドラマ版(四姉妹は加藤治子・八千草薫・いしだあゆみ、風吹ジュン)も向田邦子の代表作として有名ですが、これを原作として森田芳光監督が映画化しこのほど公開されました。四姉妹は大竹しのぶ・黒木瞳・深津絵里・深田恭子と四姉妹ものの伝統にのっとった豪華キャストです。
森田監督は「向田色を絶対に壊さない」「演技の細かさに配慮」「構図、色彩の深み」「オーソドックスの中での新しさ」と四つの演出方針をたてて、女性の中にはげしい情念の阿修羅がいる、という向田邦子の世界を再現、その上で現代的視点として女性たちがその阿修羅とどう折り合っていくのかを表現し、ドラマを知っている層、知らない若者層ともに好評です。
さて、これら四姉妹もののキャスティングを見ていると一つの共通点があります。宝塚歌劇出身女優が含まれていることです。『阿修羅のごとく』ドラマ版の八千草薫、映画版の黒木瞳、『てるてる家族』の紺野まひる、『おとうさん』と『夢みる葡萄』は四姉妹にはいませんが母親役が黒木瞳と涼風真世。女の世界といえばタカラヅカ、ということでしょうか。