『女と味噌汁』(65~80)
原作・脚本:平岩弓枝 演出:橋本信也ほか 制作:石井ふく子
出演:池内淳子、山岡久乃、長山藍子
全38作つくられた単発ドラマ枠の東芝日曜劇場を代表するシリーズ。ライトバンで移動味噌汁屋を営む芸者てまり(池内淳子)、芸者の長山藍子、おかみの山岡久乃の活躍とふれあいを描く。
石井ふく子Pとコンビを組む後期のエースが橋田壽賀子なら前期のエースはこの作品や『肝っ玉かあさん』『ありがとう』などの平岩弓枝。橋田脚本が『渡る世間は鬼ばかり』などどちらかというと性悪説的なのに対し、平岩脚本は人をやさしく描き性善説的。『ありがとう』を見ても時代を超えた良さを感じます。
『白い影』(73)
原作:渡辺淳一 脚本:倉本聰 演出:高橋一郎 制作:大山勝美
出演:田宮二郎、山本陽子、中野良子、中山麻里
金曜ドラマ初期の代表作で、中居正広主演でリメイクされた『白い影』のオリジナル。主演が中居・竹内結子に対し、田宮二郎・山本陽子だから大人の雰囲気。
これで田宮二郎の「白」というイメージがつき、この後TBSのテレビ映画で『白い滑走路』『白い地平線』『白い秘密』『白い荒野』と続き、フジの『白い巨塔』に続いていきます。
『寺内貫太郎一家』(74)
脚本:向田邦子 演出:久世光彦
出演:小林亜星、加藤治子、梶芽衣子、西城秀樹、悠木千帆(現・樹木希林)、浅田美代子、藤竜也
女性主体が多いホームドラマの中で石屋の頑固おやじ貫太郎を中心にすえ、かつ家族の心情を深く掘り下げるのとバラエティ的コメディの二面性を持つ不思議なホームドラマ。
心情面では、長女・静江(梶芽衣子)は仕事場で遊んでいての事故で片足が不自由なことに貫太郎が責任を感じていることが大きく、静江が結婚相手として38歳の子連れ男・上条(藤竜也)をつれてきたため波紋を広げる、という古いタイプの父親像を得意とする向田脚本。
コメディ面は「ジュリ~」が有名ないじわるだけど憎めないきん(悠木千帆)を中心にギャグをちりばめ、時には生ドラマなど構成面も凝る奇才・久世演出。
最後に心情とコメディがぶつかりあうのが、長男・周平(西城秀樹)と貫太郎のカッとしやすい似たもの親子によるセットも壊す大ケンカ。
貫太郎のキャスティングは若山富三郎や高木ブーが候補にあがる中、久世Dの推した小林亜星。実体は長髪に現代的なファッションで、向田邦子はじめスタッフは反対したけど、丸坊主にして半纏をきせるとみんな納得。
ところで連続テレビ小説『さくら』でグランパ役の小林亜星はどうみても貫太郎(ちなみに『さくら』脚本の田渕久美子は向田作品が大好きといってます)。