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『忠臣蔵』の基礎知識(3ページ目)

木村拓哉主演『忠臣蔵1/47』の放送と義士祭(討ち入りの行われた12月14日)にちなみ、虚実入り交じり複雑かつエピソードの多い作品である『忠臣蔵』について予習しましょう。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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講談『義士銘々伝』

江戸時代は大ぴらに取り扱えなかった赤穂事件ですが、明治時代になり事実上解禁になります。『仮名手本忠臣蔵』ではエッセンスしか扱えなかったので、市中伝承を元に講談師たちが、47人いる義士たちのそれぞれのエピソードを語り出します。
それらが後に『義士銘々伝』としてまとめられます。

例えば神崎与五郎が江戸へ向かう途中、ケンカになりかけたのを我慢して謝った「神崎与五郎の詫証文」

また、美男子の岡野金右衛門は吉良邸出入りの大工棟梁の娘と恋仲になり、これを利用して屋敷の図面を手に入れた「恋の絵図面取り」

それから赤埴源蔵が討ち入りの前、兄に暇乞いにいったところ不在だったので一人で徳利の前で別れの杯を酌み交わした「赤埴源蔵徳利の別れ」。

講談的見てきたような嘘で、ほとんどがフィクションです。


『赤穂浪士』から大河ドラマへ

昭和3年(1928)、大佛次郎の小説『赤穂浪士』は『忠臣蔵』をもう一度リアルなものとしてとらえ直そうとし、小説的フィクションはあるものの、『義士銘々伝』の芝居がかった要素を排します。

そして昭和39年(1964)、やっとテレビドラマのはなしになり『赤穂浪士』が大河ドラマで放送になります。原作に加えて『義士銘々伝』のエピソードまで盛り込み、これぞみんなが知ってる『忠臣蔵』というストーリーを展開、長谷川一夫の大石内蔵助(「おのおの方……」で有名)を筆頭にするオールスターキャストや東京オリンピックの開催とともに日本人のナショナリティを刺激し、『忠臣蔵』の決定版となります。

そもそも『仮名手本忠臣蔵』でさえ全段上演すると一日では収まりきらない大作、さまざまなエピソードや時代背景を盛り込もうとするとテレビ東京新春12時間時代劇でも足りない。最低でも1時間ドラマを半年、大石内蔵助がなかなか討ち入りに踏み切らないじれったさを出そうと思うと、大河ドラマ以外で『忠臣蔵』を描ききるのは難しいでしょう。

大河ドラマは、その後も柳沢吉保を中心に幕府側の視点を中心に描いた『元禄太平記』、堺屋太一原作で経済的視点の『峠の群像』、中村勘九郎の内蔵助が印象的な『元禄繚乱』と扱われることになります。




そして今回の『忠臣蔵1/47』、ふつうは内匠頭・内蔵助中心のところを堀部安兵衛の視点から描くのがポイント。浅野家代々使えていた浪士が多い中、「高田馬場の仇討ち」事件に助太刀して有名になり、堀部家に養子に入った異色の存在。三時間でどのようにまとめるのでしょうか。

ちなみにガイドの母は赤穂のとなり町の出身のため、『忠臣蔵』については妙に盛り上がる家族なんですけど「きっと『俺ってさー、一人だけ仇討ちを経験してるじゃない? だから言うんだけどさー』とかいうに違いない」などと話題にしつつ、とっても楽しみにしています!
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