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追悼・テレビマンユニオン荻元晴彦会長 制作会社のパイオニア(2ページ目)

テレビマンユニオン会長の萩元晴彦氏が9月4日、脳梗塞で亡くなられました。日本のテレビ、テレビドラマ史上における先駆者としての三つの功績をまとめます。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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3.長時間スペシャルドラマ路線の先駆

77年にいままでの編成常識を破る日本初の三時間ドラマ『海は甦える』(原作・江藤淳、日本海軍近代化の立役者、山本権兵衛を日露戦争まで描く)を制作、視聴率は29.3%(ニールセン調べ)と話題になります。

このヒットの影響で、以後テレビにとどまらず映画まで含めた近代日本もの企画が増えることになります。

テレビマンユニオンがすごかったのは企画の通し方。制作会社はテレビ局に対して企画を通して、テレビ局がスポンサーを獲得するのが一般的ですが、『海は甦える』ではまず自主企画して日立製作所に営業してスポンサーとして確保した後、TBSに持っていて放送を決定と順番が逆、制作会社は悪くいうと下請けという立場をひっくり返してます(テレビマンユニオンと日立のつきあいは今なお『世界ふしぎ発見!』で続いています)。

この年、テレビ朝日は旧NETからの社名変更記念として、アメリカドラマ『ルーツ』を8夜連続放送、また土曜ワイド劇場(当時は90分)もこの年からで、75年から放送されている70~90分の3回前後放送のNHK『土曜ドラマ』とあわせて、フレキシブルな編成のスペシャルドラマ時代を築きます。

しかしその後、2時間サスペンスが乱立するとともにスペシャルが日常化して埋没しあまり話題にならなくなっていきます。

その流れをひさびさに覆したのが昨年の『百年の物語』(TBS)。2時間半の三夜連続というスペシャル編成。松嶋菜々子主演に加えて、第1話が高年齢層に人気の橋田壽賀子脚本という組み合わせの妙で全世代的に見られ高視聴率を獲得。

その影響か、この秋の期首改編ドラマではフジが9/24(月)と9/28(金)の変則二夜放送の『プラトニックセックス』(龍居由佳里脚本、永山耕三演出)、テレビ朝日は10/6、7(土、日)の二夜連続『反乱のボヤージュ』(野沢尚脚本、若松節郎演出)とスペシャル編成が目立ちます。

その他にもテレビ朝日は「ドラマビッグウェーブ」と題し『反乱のボヤージュ』に加え、ウッちゃん主演のエンターテイメントアクション『恋人はスナイパー』(10/11、君塚良一脚本)、高橋尚子ドラマの『君ならできる』と力を入れています(ホントはもう一本『結婚の条件』というのがあったんですが稲垣吾郎主演だったので……)。



萩元氏の遺作となったのが今年正月、病身で勝負に打ち込む棋士を描いた『聖の青春』。氏が惚れ込んで企画を通したそうでさすがのデキでした(個人的に今年ここまでのベストドラマに推しています)。

また、テレビマンユニオンのサイトの中に「ソラリスの耳」という社長室にいる犬のつぶやきという形のエッセイがあり、無記名ですがたぶん萩元氏の文ではないかと思います。その連載の最終回では「I just cannot stand any longer.」と書かれています……。(http://www.tvu.co.jp/

故人の冥福をお祈りします。
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