2001年10月からのNHK連続テレビ小説『ほんまもん』のスタッフ、キャストが発表されました。
西荻弓絵のオリジナル脚本、和歌山県熊野地方出身で料理人をめざすヒロインに池脇千鶴、それから父親:根津甚八、母親:風吹ジュン、祖父:佐藤慶、祖母:小林千登勢、伯母:小林幸子、人生の師匠の尼僧:野際陽子、友人:麻生祐未、料理修業を支える桂三枝、修業を積む大阪の黒門市場の魚屋・隣接する八百屋で働く木葉の親代わり役に宮川大助・花子など主要キャストが決まったことが発表になりました。
まずヒロインに決まった池脇千鶴ですが、彼女は大阪出身のネイティブでNHK大阪制作で和歌山~大阪が舞台のドラマにはぴったりのキャストです。そういえば考えてみるとNHK大阪制作の連続テレビ小説で関西出身女優がヒロインというのはあまり例がありません。
とっさに思い浮かぶのが、一年一作体制から東京/大阪の半年交代になった最初の年の大阪制作の作品『おはようさん』(1975)の秋野暢子が大阪。これはいくらなんでも古すぎるので、調べなおしたところ『わたしは海』(1978)の相原とも子が兵庫、『京、ふたり』(1990)の畠田理恵が京都、『ぴあの』(1994)の純名理沙が兵庫ぐらいで、四半世紀の歴史からすると少数派です。
この理由を考えるに、制作サイドからすると脇役で関西色を出したいのにヒロインまでネイティブではバランスが悪くなる、女優サイドからすると全国区で売り出したいのでローカル色を強くしたくない、ということなんじゃないかと思います。例として沢口靖子、大阪・堺出身ですが、東京制作の『澪つくし』(1985)の主演で、最近の金鳥ゴンのCMまでは関西色をあまりだしていませんでした。
ところで、池脇千鶴は記者会見で『あすか』(1999)のオーディションに落ちていて、そのリベンジであることを明らかにしました。連続テレビ小説のヒロインオーディションで落ちた女優が明らかになることは珍しく、『チョッちゃん』(1987)で南野陽子が落ちたということが話題になったぐらいしか記憶にありません。余談ですが、もし南野陽子がヒロインになっていたら、『はね駒』(1986)の斉藤由貴に続いて2年連続『スケバン刑事』出身者ということになっていました。
1999年当時は『あすか』でヒロインを務めた竹内結子よりも池脇千鶴の方が一般的な知名度・評価とも高かったはずで、最近の竹内結子の活躍を見るとオーディションで選んだ人は見る目があった、と感心します。