春の新ドラマの発表がほぼ出そろっていたなかで、ひとつだけ日本テレビ水曜10時枠が出遅れ、3月7日『FACE』最終回後の予告編でようやく『新・星の金貨』で主演は藤原竜也であることだけがわかりましたがヒロインは不明のままでした。
ところが3月9日、以前から事務所と契約でトラブっていた鈴木あみが、このまま引退が濃厚と報道され、その中で『新・星の金貨』のヒロインをつとめる予定だったが2月中にキャンセルされたことが明らかになりました。
『星の金貨』という設定上、ヒロインは手話を使えないといけないため、代役探しは難航しましたが、3月13日に『金八先生』の娘・乙女役、2000年JR東海シンデレラエクスプレスなどで知られる星野真里がヒロインに決まり、あわせて監修として野島伸司が加わっていると報じられました。
オリジナルの『星の金貨』は、酒井法子は有名だけど大沢たかおと竹之内豊ってだれ?と放映当初はノーマーク状態でしたが、多くの苦難を乗り越える正当派ラブストーリーとしてブレイク。この成功要因は大沢たかおと竹之内豊の魅力はその後の活躍を見ればわかる通りですが、意外に手がかかっている企画段階というのも見逃せません。
もともとは「にっかつ撮影所」から企画が出され、「にっかつ撮影所」はその名の通り撮影所ですが北川悦吏子(『ロング・バケーション』『ビューティフルライフ』などを脚本)、両沢和幸(『お金がない!』などを脚本、『ナースのお仕事』などを制作)といった優秀なスタッフを送り出すなど企画力の優れた制作会社でありました、しかし93年に「にっかつ」本体とともに倒産、その後『星の金貨』の脚本は「にっかつ撮影所」出身で当時は無名の龍居由佳里が担当しました。
龍居由佳里はその後『ピュア』『バージンロード』、現在の『白い影』などを脚本していますが、その特徴はよくも悪くも性善説的だということだと思います。これが前面に出るとおお甘な展開になってしまいがちです。しかしオリジナルの『星の金貨』は名前は表にでていませんが、日本テレビと酒井法子との関係により野島伸司のチェックが入っており、これにより「悪」の要素が注入されてバランスがとれた作品になりました(『白い影』は渡辺淳一の原作があるというところで一本筋が通ったものになっています)。
『続・星の金貨』は野島伸司企画に山崎淳也脚本と『家なき子』と同じ路線で突っ走り、前作のファンを失望させています。『新・星の金貨』も脚本はまだ発表されていません。野島伸司監修はあきらかになりましたが、山崎淳也はテレビ朝日の『es・この愛の行方』脚本が決まっており、掛け持ちはないでしょう。。
野島伸司も「過激に走らないか?『S.O.S.』」で触れたように作風をかえつつあり、どうなるか予断を許しません。
放送開始を4月スタートのドラマとして異例に遅い25日にして、その間に体制を立て直すことはできるでしょうか?
(3月19日追加)
脚本は武田菜穂であることが公表されました。武田菜穂は『愛犬ロシナンテの災難』を一話書いた新鋭。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。