1月からのドラマで目をひくのが、金銭がらみのドラマが3作あることです。『お前の諭吉が泣いている』、『カバチタレ』、それに『バブル』——。

『お前の諭吉が泣いている』は経営不振の私立高校の再建を新理事長(国分太一)が伝説の経理マン、ケッペキ(東山紀之)に託すというもので、レストランの建て直しを新オーナー(筒井道隆)が伝説のギャルソン(松本幸四郎)に託した『王様のレストラン』と似ています。違うのは主人公の職種、経理マンというのがリストラ流行りの現代的。

テーマは2話に出てきた「1万円札があれば幸せが買えます」。ムダに金を使うな生きた金を使え、ということですか。

金銭トラブルを法律の面から切るのが『カバチタレ』。借金、不当解雇、労災、遺産相続、交通違反、痴漢と間違われた場合の対応などためになります。男性が主人公の原作設定を、やり手行政書士の(深津絵里)と何度だまされても人を信じる女(常盤貴子)に変え、ドラマらしくしています。

そしてそのものズバリ「バブル経済」を扱った『バブル』。バブルに踊る人にそれをあやつる人、しかしみんなが破滅へと向かっています。登場人物がドラマのための駒にならずにそれぞれ人生を背負っているところが、さすが鎌田敏夫脚本。

このドラマ中にでてきた警句で傑作だったのは「タイタニック号が沈みつつあるとき、女性を先にボートにのせるように船長はまずイギリス人に言った『あなたたちはジェントルマンです』、次にアメリカ人に言った『ヒーローになれます』、それからドイツ人に言った『それがルールです』、最後に日本人に言った『みんながそうしています』」。当時も今も日本人は「みんなでやれば怖くない」で、あまり進歩がないことがよくわかりました。

「良い大学に行って良い会社に入れば安泰」という価値観に多くのテレビドラマは従い、その上で家庭とか恋愛などを語ってきました。しかし良い会社に入ってもリストラされる現代、経済的にどう生きたらいいか、ということをドラマでも考える段階に入ってきていることを、金銭についてのドラマが流行っているのは意味しているようです。

価値観の変化は一貫して女性の生き方を扱ってきたNHKの連続テレビ小説の歴史でもわかります。昔は『おはなはん』など良妻賢母が中心でしたが、だんだん社会進出するようになり、最近ヒットする作品は美容師の『あぐり』、大工の『天うらら』、和菓子職人の『あすか』など手に職を付けるものが人気を呼んでいます。

「人はパンのみに生きるにあらず」ということは「パン」を得ることが重要であるということでもあります。

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