イクラと筋子、もともとは同じもの
ロシアではキャビア=黒いイクラ。一方、ドイツでは赤いキャビア=イクラ。所変われば…ですね |
秋になるとお魚屋さんに「生筋子」というのが並びますが、これは鮭のお腹から取り出した塩をしていない筋子のこと。塩を混ぜたぬるま湯の中で指でしごくようにばらしていくと、あっという間にイクラ状(これを「ばらこ」と呼びます)になります。このばらこを塩漬け、醤油漬けにしたものが、通常皆さんが「イクラ」と思っているものです。
同様に筋子は生筋子を塩漬けにしたもの。なかには味噌漬けや粕漬けにしたものもあります。いずれも塩分と出会わせることで、水分を飛ばし保存食にするべく加工を施してあるんですね。
イクラはロシア語、筋子は総称
実は、イクラと筋子の違いはこれだけではないんです。まずはイクラから。イクラはもともと日本語ではなく、ロシア語。日本ではイクラというと鮭の卵を加工したものを主に指しますが、ロシアではキャビアもたらこも、お魚の卵はみんなイクラです。私たちが「イクラ」だと思っているものは、「赤いイクラ」と色の形容をつけて表現されています。次に筋子。筋子は正確には鮭科のお魚の卵の総称で、それぞれの種類には個々の名前があります。どんな名前かというと……
・白鮭 → 鮭子、ハラ子
・紅鮭 → 紅子
・銀鮭 → 銀子
・樺太鱒 → 鱒子
・キングサーモン → キング子
筋子というと鮭というイメージが強いのですが、同じく鮭科のお魚である鱒の卵のことも筋子と言います。お店などでは「鱒子の筋子」と表記されて売られていることも多いですね。一般的に鱒の筋子は鮭に比べて比較的粒が小さいものが多いようです。
また、日本人にはとても愛されている筋子ですが、アラスカなどでは捨ててしまうことも多いとか。「捨てちゃうならうちに送ってくれないかなぁ?」と思うのは私だけでしょうか?