小学校で「円周率が3になる!?」と社会的批判を浴びた
新学習指導要領。「学力低下を招く」と識者からも批判を浴び、
いわゆるお受験加熱の引き金となったとも。
昨年末に改正が加えられましたが、子供たちを取り巻く
現代の不穏な空気の中、日本の公教育が転換期を迎えようと
しているのは明らか。
さて、私たちはその心構えができているでしょうか?
■円周率は「3」!?
平成10年(1998年)に発表された「新学習指導要領」。その中で、「週5日制による授業時間の削減」・「学ぶ内容の削減」が注目され、「円周率が『3』になる!」などと大きな反響・批判を生んだことは記憶に新しいところですね。
この新指導要領は、小・中学校では2002年4月より施行され、高等学校では2003年4月より施行されました。このため、特に小学校への就学を前にした保護者の間では「2002年ショック」とも呼ばれ、公立小学校教育への不信感から、いわゆる「お受験」過熱の引き金となったとも言われました。
学ぶ内容に関しては大まかに言って3割減とも言われ、「東大生が分数計算ができない」などという大学生の学力低下現象とも一緒に語られるなど、子供の学力への不安は増すばかりでした。
■行き詰まる日本の公教育
このような批判を受け、新学習主導要領は、平成15年(2003年)に、当の文部科学省によって、一部改正が加えられました。習熟度によって個別に補充的・発展的な学習指導を認めるなど、指導要領があくまでも一般的なガイドラインに過ぎないことを強調し、「円周率が3になるというのは誤解」と、「学力低下」への懸念を払拭しようとしたものです。
さらに、改正内容では総合的な「生きる力」・「確かな学力」を育むことを目的としつつ、家庭と地域の積極的な参加を求めています。ところが、学校が家庭と地域の積極的な参加を求める、ということには、一体どのような意味が隠されているのでしょうか?
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