子供の病気/その他の子供に多い病気

教えてドクター!Q&A クループ

これから冬にかけて、風邪の季節です。ひどい咳と呼吸困難を起こす喉の炎症「クループ」は、風邪によく似た症状で始まりますが、赤ちゃんの命の危険さえある怖い病気です。正しい知識を知っておきましょう。

執筆者:長尾 大志


クループとは?

Q:息子が数日前から、微熱・鼻水・のど痛など、風邪のような症状が続いています。昨日から夜中に、犬が鳴くような咳をするようになり、心配になって小児科にかかりました。すると「クループ」と言われました。これはどんな病気なのでしょうか? 喘息とは違うのでしょうか? 想像すらつきません。ぜひ教えて下さい。

A:お答えします。クループはウイルスによる喉の炎症です。様々なウイルスが原因で起こりますが、代表的な原因ウイルスは「パラインフルエンザウイルス」というものです。そのほか細気管支炎のところで触れた「RSウイルス」や、「インフルエンザウイルス」などでも起こります。3か月から3歳頃までに多く起こる病気です。風邪と同じで、咳などで空気中に飛び出したウイルスを他の子供が吸い込むことで発病します。

クループの症状

息が苦しそうなら医師の診察を
息が苦しそうなら医師の診察を
最初は微熱・鼻汁・喉の痛みなど、風邪のような症状で始まります。その後咳が強くなりますが、この咳は犬吠様(けんばいよう)と言われる特徴的なもので、咳のあとに犬が吠えるような独特の甲高い声が出ます。これは喉がむくんで腫れ、空気の通りが悪くなっているために起こります。症状は夜に強く、朝になると少し良くなることが多いですが、次の夜にはまた強くなります。熱は高熱が出ることも出ないこともあり、喉が腫れるので声がかれたようになることもあります。

喉の腫れがひどくなると、空気が通らなくなって呼吸困難を起こすことがあります。喘息や細気管支炎は息を吐くときに「ぜいぜい」「ひゅーひゅー」と喘鳴(ぜんめい)が起こりますが、クループでは息を吸うときにひゅーひゅー音がするのが特徴です。慣れた小児科医なら特徴的な咳もあり、診断は難しくありませんが、家庭での判断は難しいかもしれません。いずれにしても、「ぜいぜい」「ひゅーひゅー」が続き、息が苦しそうであれば医師の診察を受けましょう。

家庭でのケア・治療

家庭では安静にさせ、水分を十分摂らせます。乾燥すると刺激になり咳が出ますから、加湿器などで部屋を加湿しましょう。泣いたりすると喉の腫れが強くなり、症状が悪化しますので、出来るだけ機嫌を取るようにします(難しいですが……)。

治療薬はネブライザー(吸入器)による吸入が効果的です。そのほか、炎症を止める薬を注射したり内服したりします。ウイルスが原因なので抗生物質は効果がありません。症状が強くなると呼吸が出来なくなって危険な状態になることがあるので、入院して酸素を吸ったり、水分を補給したりします。場合によっては人工呼吸が必要になるほど強い呼吸困難になることもありますが、ほとんどの子供が回復します。いずれにしても、早期に適切な治療を受けることが必要です。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。


<参考リンク先>
クループ(メルクマニュアル)
クループ症候群(すこやか子育て健康百科)
クループ症候群(土川内科小児科)
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