子供の病気/その他の子供に多い病気

子供が軽症の喘息 どう治療する?

喘息の治療、医師によって考え方は少しずつ異なります。特に普段あまり症状のない「軽症」の喘息に対しての考え方は様々です。ガイドラインではどうなっているのかを紹介します。

執筆者:長尾 大志


軽症の喘息とは?

Q:うちの子が咳がよく出るので小児科に連れて行ったところ、喘息と言われました。薬をもらって、すぐに良くなったのですが、小児科では「しばらく薬を続けるように」とたくさんの薬を出されます。こんなに必要なのでしょうか…。

A:そうですね。すぐに症状が良くなったとのことですから、喘息としては軽症の部類になるだろうと思います。小児喘息のガイドラインではどのように記載されているでしょうか。軽症の喘息には間欠型と軽症持続型があります。

間欠型は年に数回、季節の変わり目などに咳嗽(がいそう=咳のこと)・軽度喘鳴が出現する程度のもの、軽症持続型は年間を通してしばしば発作が出るものの、月に数回の発作にとどまるものです。

軽症喘息の治療ガイドライン

軽症とはいえ、喘息はしっかり治療
軽症とはいえ、喘息はしっかり治療
週1回以下の発作ですんでいる場合、「気管支拡張薬の頓用で発作時に対処し、発作の頻度によって少ない量の吸入ステロイドまたは抗アレルギー薬を考慮する」としてあります。

ガイドラインはあくまでも指針ですから、具体的な投薬方法を定めているわけではありません。実際の処方をどうするかは患者さんの状態を総合的に考えて主治医が決めましょう、ということになっています。

このように、主治医の裁量に任されている部分が大きいので、軽症の喘息患者さんの治療は医師によってかなりのばらつきがあるのが実情です。あるところでは発作止めの気管支拡張薬だけを処方されているかと思えば、別の病院では4~5種類の薬をずっと内服させていることも。

軽症喘息に対するガイドの考え

私は、発作が出ない状態で出来る限り長い間過ごすことが、気道の炎症を鎮めて過敏性を低下させるのではないかと思っています。ですが、もちろん無用の薬をいつまでも続けるのはよくありません。

そこで年に数回程度の発作で済んでいる子供には、発作止めの気管支拡張薬だけを処方しています。でも年間を通して発作がある場合、特に6歳以上の子供には吸入ステロイド薬を積極的に使用すべきだと考えています。

「吸入ステロイドは副作用が怖い」とよく誤解されているのですが、吸入ステロイドを使うことで喘息発作が少なくなり、結果的に使う薬が減ったり、長い目で見たときのメリットは副作用などのデメリットを上回ると考えられています。

また、症状がしっかり抑えられることは成長期の子供にとって、精神面でのメリットも大きいと考えられています。喘息があることで体育を休みがちになったり、学校行事を休みがちになったり、ということがなくなることは、子供にとって大きな救いになるのではないでしょうか。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。


<参考リンク先>
不安解消 小児喘息ガイドラインとは?(記事)
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005アブストラクト(日本小児アレルギー学会)
小児気管支喘息治療管理ガイドライン(リウマチ・アレルギー情報センター)
喘息の正しい治療法と薬の正しい知識(PDFレポート)
子供を喘息にしない・悪化させないための10の方法(PDFレポート)
ぜんそく大事点・喘息クイズ
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