減感作療法とは?
Q:うちの子供はスギ花粉アレルギーがひどくて、花粉が飛ぶ季節は毎年花粉症と喘息に悩まされます。花粉症に減感作療法(げんかんさりょうほう)が効くと知人に聞きましたが、本当ですか?喘息も重症で、日常生活がままならない日も多いです。こんなひどいスギ花粉症の子供に減感作療法なんて危険じゃないかと思うのですが…。教えてください。お願いします。A:お答えします。減感作療法とは、その患者さんのアレルゲンをほんの少しずつ体内に入れ、徐々に増やしていくことでそれに対する過敏な反応を減らしていこうという治療法です。
つらい花粉症が治る… |
この勘違いを直すために、ほんの少しのアレルゲンを体内に入れます。大変少ない量のアレルゲンに接触したときには、免疫系は「外敵だ!」と思わずに「これって何だったっけ?」と考え込んでしまうんですね。 そこでしばらくしてから、もう少しだけ多い量のアレルゲンを体内に入れます。そのときも免疫系は「う~ん、何か見覚えがあるけど、敵だったかなあ。忘れたなあ」となり、「敵のような気もするけど、まあ適当でいいや」となって、反応が弱くなってしまうのです。
うまくいくと薬が不要になったり、大幅に減らすことが出来ます。医師による治療の中ではアレルギーを「治す」というところに一番近いと言えるでしょう。
減感作療法のデメリット
薬をやめたり、減らすことができ、いいことばかりのように見える減感作療法ですが、少し敷居が高い面があります。何と言っても手間と時間がかかる!治療開始当初は毎週注射をしに通院しなくてはなりません。症状が安定するまでに少なくとも数ヶ月、安定してからでも数年は注射を打ち続ける必要があります。減感作療法は、メリットとデメリットをよく考えて受けましょう |
また、全てのアレルゲンに対する反応を抑えるものではありません。注射を行ったもの以外のアレルゲンに対する反応はこれまで通りです。よって、アレルゲンが多い方には効果は限られることがあるようです。逆にスギ花粉だけが問題の場合は効果が期待できるでしょう。
また、少量とはいえアレルゲンを体内に入れるわけですから、それでアレルギーが起こる可能性もあります。花粉症のような症状が出たり、喘息発作やひどい場合にはアナフィラキシーという過激な反応が起こり、命に関わることもあります。
それと最近では施行できる医療機関が減っているのです。他によい治療法(薬)が出来てきたこと、医療機関にとっても手間がかかること、保険点数上のメリットがあまりないことなどが理由です。
その中でやっている医療機関は、それなりに経験もあり実績もあるところが多いと思います。また、減感作療法をする患者さんもそれなりに強い症状のある方が多いです。
質問の方のケースでは、強いアレルギー症状があるようですから、軌道に乗るまでしばらくは細心の注意が必要です。色々な薬を併用して、症状を抑えながら進めていくことになるでしょう。お近くの減感作療法を行っている医療施設で一度ご相談されることをお勧めします。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。
<参考リンク先>
減感作療法を行っている医療施設
教えてドクター! Q&A 花粉症の知識と対処法(記事)
全国の花粉情報
花粉症vol.1 花粉症の原因(カレンダー)(記事)
花粉症vol.2 花粉症の治療(記事)