麻疹って、どんな病気?
Q:うちの子供に数日前から風邪のような症状がありました。昨日からは40度の熱を出し全身にブツブツがでたので病院に行くと、麻疹だと言われました。後で知り合いのお母さんに聞くと、脳炎で命に関わることもあるとか。薬もないといいますが、麻疹とはいったいどんな病気なのでしょうか?また、家でどのような手当てをすればいいのでしょうか。教えてください…。A:お答えします。麻疹とはウイルスによって起こる病気です。麻疹にかかった子供の咳やくしゃみで飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。感染してから発症するまでの期間を潜伏期といいますが、麻疹の場合およそ10日間程度です。
症状は?
潜伏期が過ぎると、まず発熱・咳・鼻汁といった風邪引きのような症状(カタル症状といいます)が起こります。その後、数日たって口の中に白いブツブツ(コプリック斑といいます)が出てきます。その白いブツブツが出てから1~2日で熱は一旦下がります。しかしそれもほんの半日ぐらいで、そのあと40度ぐらいの高い熱と発疹が出ます。その時期が一番症状が強く、辛い時期です。発熱と発疹は4~5日続き、その後回復していきます。
治療法は?
上で書いたように麻疹の原因はウイルスですが、麻疹ウイルスを退治する薬はありません。自然に治るのを待つことになります。辛い症状が続いたり、体力を消耗したりするときには症状を抑える薬を使うこともあります。このように確たる治療法がなく、症状が重いことが多いことから予防接種が薦められています(下記参照)。
家庭でのケアのポイント
高熱が続きますから、安静にして水分補給を。 |
合併症・注意点は?
麻疹にかかると、高熱が出て体力を消耗します。そのため肺炎・気管支炎・脳炎といった合併症が起きることがあります。重症の場合、後遺症が残ったり、まれですが命に関わることも。「頭が痛い」と言ったり、何度も吐いたりと言った症状があるときは、脳炎の可能性もあります。また、息が苦しそうにしているときは肺炎の可能性がありますから、いずれの場合も病院へ。水分がとれないときも、脱水になりますので病院に行きましょう。
予防接種を受ければ少なくとも幼児期の間は、ほぼ麻疹にはかからないと言われています。ただ予防接種を受けてから十数年全く麻疹のウイルスに接触することがないと、身体が麻疹のことを忘れてしまい、麻疹にかかってしまうこともあるようです。
重症になると怖いのは幼児期ですから、少なくともその間は予防しましょう、という視点から幼児期の接種が薦められているのです。
なお生後6か月までの間は、お母さんから抗体という麻疹ウイルスとたたかう物質を受け取っているので、麻疹にかかることはほとんどありません。また、その後もしばらくは免疫系が未熟なので、予防接種ができるのは1歳になってからです。
予防接種の副作用(副反応といいます)で多いものは発熱です。2~3割の子供に起こり、数日間で下がります。発疹が出ることもあります。一時問題になった脳の障害は百万人に1人以下という割合で起こりますが、麻疹にかかったときの脳炎になる率(千人に1人)よりはずっと少ないものです。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。
<参考リンク先>
麻疹・はしか(かのうクリニック)
麻疹・はしか(こぐま保育園)
麻疹・はしか(土川内科小児科)