アラン・フラッサーはこう語る


リスト・ルージュ
リスト・ルージュの手刺繍。私物。

シャツをオーダーした際に「イニシャルはどうされますか?」と聞かれることが多い。イニシャルというのはローマ字による氏名の頭文字のこと。

似たものにモノグラムというものがあるが、こちらは氏名の頭文字を組み合わせて図案化したものをいう。

たとえば菱形や八角形のなかに3文字の頭文字を組み合わせたものなどがその代表だ。タオルやハンカチーフ、白いシルクのマフラー、ドレッシングガウン、ベルベットスリッパーなどに施す場合が多い

一方シャツの場合は2文字ないし3文字のイニシャルを刺繍するのが一般的だろう。広い意味でイニシャルもモノグラムと考えられるので、ここではモノグラムという呼び方で統一したい。

ではシャツのどの位置に刺繍するのが正しいのか考えてみたい。1983年に発売されたアラン・フラッサーの名著「MAKING THE MAN」のなかでは、左側の中央、ウエストから5インチ~6インチ上の位置が理想といっている。

つまりベルト付近から13センチ~15センチ上ということだ。もし胸ポケットをつける場合はその中央に。また、シャツのカフスや衿に刺繍することを強く戒めている。

1981年に発売された「オフィシャル・プレッピー・ハンドブック」のなかではシャツの左側につけるのが基本で、胸ポケットの位置をすすめている。

他にもあばら骨の下付近、カフス、左袖のひじ(おそらく腕のこと)などを紹介している。ただこの本はところどころパロディなので、書かれていることをすべて鵜呑みにはできない。

1990年に発売された「フランス上流階級BCBG」のなかでも、やはり左胸の位置。他にオーストリアの貴族の方が書いた本では左胸のポケットの下~ベルトのすぐ上あたりといっている。胸ポケットやカフスは絶対に駄目とのこと。

本からの結論


リスト・ルージュ
リスト・ルージュの手刺繍。裏から見たところ。私物。

胸ポケットがある場合は中央付近に、ない場合はベルト付近から13センチ~15センチ上。どちらにしても左側が基本だ。

ただし、ポケットがないほうがエレガントなので、オーダーメイドシャツにおける正しいモノグラムの位置は、ベルト付近から13センチ~15センチ上ということである。

刺繍糸の色についてはヨーロッパでは同系色などの目立たない色という意見が多く、アメリカの「オフィシャル・プレッピー・ハンドブック」ではレッドやグリーンの明るい色を使って自己主張すべきといっている。

また、アラン・フラッサーは1文字の高さを1/4インチ(約6ミリ)以下にすべきといっている。

刺繍の方法については、ミシン刺繍ではなく手刺繍でなければいけないという考えもあった。

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