魅力を高めるチタン・モデル
パネライは、「ルミノール」や「ラジオミール」の基本デザインについて、大幅なモデルチェンジをけっして行わず、細部のリファインに留めてきた。一目見てパネライと識別できるアイコン的なデザインが何にも増して不可欠だと考えるからだ。デザインは変えなくても、素材のアレンジはなかなか興味深い。今年のパネライは、ブラックのPVDやセラミックもおもしろいが、注目したのはチタンである。軽量にして強靱、なおかつ肌にもやさしいチタンは、今やスポーツウォッチに幅広く活用されている。パネライの腕時計にもふさわしい素材だろう。パネライ「ルミノール1950 チタン 8days クロノモノプルサンテ GMT」。自動巻きクロノグラフ。チタン。219万4500円 |
まずは「ルミノール1950 チタン 8days クロノモノプルサンテ GMT」。文字通り、8日間パワーリザーブ、シングルボタン・クロノグラフおよびGMT機能を備える自動巻きムーブメントは、パネライの自社開発製造による本格派。このモデルは、ケース本体やリューズガード部分が艶消しのチタン、ベゼルがポリッシュ仕上げのチタンになっており、ステンレススティールとは異なる独特の質感があって新鮮だ。
パネライ「ラジオミール チタン 47mm」。手巻き。チタン。286万6500円。世界限定50本 |
パネライ「ラジオミール チタン トゥールビヨン GMT 48mm」。手巻きトゥールビヨン。チタン。1281万円 |
もうひとつチタン素材の新作を取り上げるなら、これはもうトゥールビヨンをおいてほかにない。「ルミノール 1950 チタン トゥールビヨン GMT 47mm」というモデルだ。一見どこがトゥールビヨンなのかと思われるだろう。トゥールビヨンを誇示する特別なデザインがいっさい施されていないのだ。文字盤にトゥールビヨン機構を露出させることも、“Tourbillon”と表記することもせず、裏面を見て初めてわかる仕組みなのである。しかもこの自社ムーブメントは、トゥールビヨン自身も伝統的な構造とは異なる独自の設計で、さらに6日間パワーリザーブまで備える。まさに寡黙なスタイルの背後に恐るべき力を隠し持つ強者である。パネライが目指す世界が凝縮されたコンプリケ-ションといえるだろう。
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