クラシックの良さを堪能させる魅力の新作
話題の大作を二つ続けてご紹介したが、今年のパテック フィリップは、既存モデルのバリエーションも豊富にラインアップした。ケースの直径をわずかに大きくしたり、同じモデルに別の素材を追加するなど、手法はさまざま。いずれもパテック フィリップらしいクラシックなデザインをいささかも変更せずに、新しい魅力を加えている。「ゴンドーロ Ref.5124」。手巻き。ホワイトゴールド・ケース(縦43mm×横33.4mm)。218万4000円(予価) |
アールデコ・スタイルのレクタンギュラー・ケースが印象的な「ゴンドーロ Ref.5124」は、今年初めて登場した新作だ。しかし、ファンなら見覚えがあると思うが、このケースのデザインと文字盤の独特のカラーは、「10デイズ・トゥールビヨン Ref.5101」とよく似ている。「グランドコンプリケ-ション」のところで書いたように、これもトゥールビヨンなのに、それを文字盤からは見せないというパテック フィリップらしいデザインだった。したがって、この新しい「ゴンドーロ」も、「もしやトゥールビヨンでは?」と思わせるところがある意味で愉快だ。いずれにせよ、自社で製作した過去の名品を膨大にコレクションするパテック フィリップの遺産からインスパイアされた秀作なのは間違いない。
「永久カレンダー・クロノグラフ Ref.5970」。自動巻き。イエローゴールド(直径40mm)。1218万円(予価) |
あと一つだけ取り上げるなら、「永久カレンダー・クロノグラフ Ref.5970」だろうか。1950年代のモデルがオークションで高値で落札される、これもまたパテック フィリップの永遠の古典であり、現代までその血統が忠実に受け継がれてきた名品である。薄型ドレスウォッチが流行し、複雑時計がほとんど作られなくなった1950年代から60年代、クォーツ全盛期の70年代や80年代にもパテック フィリップは永久カレンダー・クロノグラフを作り続けたのである。2004年にケースが40mmにアップして少しゆったりとしたイメージに変わったが、今年はイエローゴールドのモデルが加わった。ヌーヴェル・レマニア製のパテック フィリップ専用ムーブメントも希少価値が高い。
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