贅沢な造りと抜群のコストパフォーマンス

毎年春になると、スイスで国際的な時計展示会が開催されるが、取材者たちの間でもこのところよく話題にのぼるのが全体的な価格の上昇。「上昇」ではすまなく、「高騰」と形容するほうが実感に近いだろう。一般的なユーザーにとって価格的に近づきやすいモデルが減りつつあるのは、ガイドとしても悩ましい問題である。

そこで今回は、そんな状況に朗報ともいえる日本製高級腕時計を紹介する。セイコーから発表されたばかりの「ブライツ フェニックス」である。これは、「セイコー ブライツ」シリーズの最新コレクション。製品は、機械式クロノグラフモデルと、キネティック ダイレクト ドライブの2種類。まずは、前者から紹介しよう。

「セイコー ブライツ フェニックス」、機械式クロノグラフモデル

「セイコー ブライツ フェニックス」、機械式クロノグラフモデル。自動巻き(手巻き付き)、ステンレススティール、42mm。品番SAGH003、27万3000円。他に黒ダイヤル+ステンレススティール・ブレスレットまたはクロコダイルストラップ付きもある

ムーブメントは、双方向巻き上げ式の高効率自動巻きで、約50時間のパワーリザーブを備える。クロノグラフ機能の制御に、スイスでも一部の高級モデルにしか採用されないピラーホイール(コラムホイールとも呼ぶ)を装備する贅沢な造りが特徴だ。セイコーが「伝統的な機械式時計を最先端の設計技術と精密加工技術で仕上げた」と語る自信作である。肝心の価格は、26万2500~27万3000円。4月25日発売予定のパワーリザーブ表示機能付きでも31万5000円と、かなり抑え気味。本格的な機械式クロノグラフを手に入れたいと考える愛好者にもお安心して勧めできる。

ピラーホイール

機械式時計の魅力を高めるシースルーバック。左隅にクロノグラフの司令塔を演じる柱状の歯車「ピラーホイール」が見える

ダイヤルは黒と白の各タイプがあるが、とくに赤のアクセントカラーを生かした黒ダイヤルは、視認性の高さに加え、精悍でスポーティな印象が際立つ。スーツスタイルから、週末のオフタイムまでどんなシーンにも似合う、バランスの良いデザインだ。

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