定番ダイバーズもラグジュアリーに進化
ロレックスの本格ダイバーズウォッチは、1950年代半ばの「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」というモデルに端を発する。先に述べた「シードゥエラー ディープシー」のオリジナルもそのファミリーに属す。どれも当時から続くデザインを基本的に踏襲しているので、ロレックスに詳しくない人にとっては、新旧のモデルの区別がつきにくいだろう。でもそれが、ロレックスのロレックスたるゆえんでもある。「オイスター パーペチュアル サブマリーナー デイト」。自動巻き、COSC認定クロノメーター。ホワイトゴールド、ケース直径40mm、300m防水。320万3000円・今秋発売予定 |
さてそのダイバーズウォッチのスタンダードである「サブマリーナー」の2008年新作から1本紹介したい。デザインはどこから見ても、典型的な「サブマリーナー」である。ブルーを採用したカラー・バリエーションかと思われるだろうが、これも最近のロレックスの「進化」を体現するモデルなのである。
ケースやブレスレットはステンレススティールではなく、ホワイトゴールドのブロックを精巧に加工して造られている。ステンレススティールのモデルと同様の仕上げが施されており、写真などで見ただけでは判別しがたい。しかし、実際に手にしたときの貴金属の質感や重量感はさすがにゴールドならではのもの。実用的なダイバーズウォッチとわかっていても、それがなにか別種のエレガントな時計に思えてくるから不思議だ。違いのわかる者だけが楽しめるような贅沢をダイバーズウォッチで実現するという発想がなんとも心憎い。
このモデルを特徴づけるブルーの回転ベゼルも凝っている。素材は「シードゥエラー ディープシー」にも使われているのと同じセラクロム。これはセラミックにPVD加工で、数字や目盛りを表記したもので、昨年発表の「GMTマスターII」の回転ベゼルにも採用されている。ケースの上に置かれたベゼルはさまざまなものに接触してキズが付きやすいが、セラクロムはそうしたキズに強く、独特の艶やかな輝きも長く保つことができる理想の素材である。ディテールの改良を重ねて次世代モデルへとリニューアルしていくロレックス流の進化がここにもよく表れている。
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