男の腕時計/時計関連情報

H.モーザーの評価は? シンプルながらも独創的な魅力(3ページ目)

今回は、スイスの新進気鋭ブランドにスポットを当てる。時計専門家たちから高い評価を受けるH.モーザーである。知る人ぞ知る存在のH.モーザーその独創的な時計づくりの魅力とは。

執筆者:菅原 茂

H.モーザーの魅力3
コンプリケ-ションもシンプル

H.モーザーのコレクションには、複雑時計『モーザー・パーペチュアル1』がある。2006年に発表された、じつに独創的なパーペチュアルカレンダー・モデルである。文字盤を見る限り、大型日付表示付きのシンプル・ウォッチにしか見えない。しかし、これぞH.モーザーの真骨頂といえるワザが心憎いまでに発揮されているのである。
H.モーザー「モーザー・パーペチュアル1」。
2006年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリで複雑時計部門賞に輝いた『モーザー・パーペチュアル1』。18KRGケース、手巻き、428万4000円

■従来品とまったく異なる発想のパーペチュアルカレンダー
日付は、機械的なプログラムによって毎月自動的に修正され、また、センターに控えめに置かれた小さな矢印型の針で12か月の表示を行う。12時間目盛りを12か月表示に転用しているのである。アルファベットのような文字による月名表示の習慣がない日本人にとては、直感的でわかりやすい。4年周期の閏年表示は、ムーブメントの裏面に配し、サファイアケースバックから見える。つまり、このモデルは、すべてのカレンダー表示にプライオリティをつけず、文字盤上に所狭しと並べる従来のパーペチュアルカレンダーとはまったく発想が異なるのである。パーペチュアルカレンダーであろうとも、ユーザーにとっての実用性を考慮し、確認頻度の高い順に表示の配置を工夫しているのだ。

おもしろいのは、曜日表示をあえて省略した点。曜日は単純に7日周期の繰り返しなので、パーペチュアルカレンダーならではの不規則を規則化するという機構的な妙味が薄いからだろう。シンプルを極めるためには、あっさりを省略するこの英断も見逃せない。

『モーザー・パーペチュアル1』は2006年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリで、複雑時計部門の最優秀賞に輝いた。審査員を務めた筆者がこのモデルに1票を投じたのも、「シンプルなコンプリ」というH.モーザーの新基軸を高く評価し、その革新的な発想と将来性に期待したからだった。すでにさまざまな機械式時計を愛用してきた「通」におすすめできるブランドだ。

【問い合わせ先】
東邦時計
TEL03-5807-8162

【関連記事】
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気の腕時計を見るAmazon で人気の腕時計を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます