一本で三通りの使い方ができる
筆者が初めてスイスのバーゼルで開かれる国際的な時計宝飾フェア(現バーゼルワールド)に訪れたのは、1994年のこと。ジャガー・ルクルトの取材で出会った1本の時計に、思わず一目惚れしたのである。それが「レベルソ・デュオ」だ。この腕時計は、表面ばかりでなく、裏面にも文字盤がある画期的なデュアル・タイムだった。ちなみに、裏面にまで時計機能をもたせた初の「レベルソ」である。バーゼルでの取材を終えて、ジュラ山脈のジュウ渓谷にあるジャガー・ルクルト本社を訪れたとき、当時の社長アンリ・ジョン・ベルモン氏は、「極めてシンプルかつ複雑な腕時計ができあがった」と会心の作の完成を喜んでいたが、それは私も同感だった。前ページの「レベルソ・デュオ」の裏面。海外ではこちらを日本の時刻に合わせておく。撮影:高橋義太郎 |
別の時間帯を表示する方式には、GMTやワールドタイマーなど、さまざまな機構があるが、これが一番使いやすい。高度な複雑機能を備えるのに、そのような腕時計とは思えない、シンプルな外観も気に入っている。
ジャガー・ルクルト「レベルソ・デュオ」現行品。1990年代前半のファースト・モデルをベースにしているが、時差修正用のプッシャーが、より使いやすいプッシュ・ボタンのタイプに変更されている。ステンレススティール、手巻き、90万3000円 |
最後に付け加えたいのが、機械式ムーブメントそのものの魅力。名門ジャガー・ルクルトが設計、製造する高級オリジナル・ムーブメントが、時計好きにはたまらない。手放させない愛用品であるのも、おわかりいただけただろう。
【ジャガー・ルクルトの問い合わせ先】
ジャガー・ルクルト
TEL03-3288-6370