大型腕時計ながら、印象はシック
IWCの「ポルトギーゼ・クロノ・オートマティック」に出会ったのは1990年代後半のバーゼルでのこと。ちなみに「ポルトギーゼ」とは、ポルトガルの意味。同社がポルトガルの時計商のために作った戦前の有名な大型腕時計がその起源である。第一印象は、とにかく「地味」。直径40数ミリを超える大型腕時計ブームは、1990年代終わりからにわかにブレークするのだが、そうした存在感にあふれるモデルと比較すればじつに控え目で、うっかり見落とされてしまいそうな感すらある。
現行品の「ポルトギーゼ・クロノ・オートマティック」より。ステンレススティール、自動巻、72万9750円 |
一連のパイロットウォッチや、複雑時計の「ダ・ヴィンチ」、あるいは耐磁設計の「インヂュニア」、オリジナルの大型自動巻きムーブメントや、19世紀の懐中時計ムーブメントを再現して搭載する最近の「ポルトギーゼ」にしても、IWCの時計は、あくまでも技術の探求に主眼が置かれ、斬新なデザインで目を引こうという野望が感じられないのだ。
この「ポルトギーゼ・クロノ・オートマティック」は、欲しいと思い立ってから実際の購入まで3~4年は経過していた。
大型腕時計にはなかなかピンとくるものがなく、やはりこれがベストの選択と結論するまでに時間がかかったのである。大型でもサイズを誇示しないデザイン、クロノグラフなのにそれらしからぬごくシンプルな表情、上品でシックな雰囲気などが気に入っている。ディテールを見れば、マニア受けするような部分も盛り込まれており、なかなか味わいが深い。
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