男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

地味だけど滋味があるIWC

腕時計の本格取材を始めてから15年以上。膨大な数の腕時計と出逢い、ホレ込んで手に入れたものも少なくない。その中から、日々愛用するモデルをいくつか紹介する。まずはじめはIWCの「ポルトギーゼ」から。

執筆者:菅原 茂

スイス時計フェアは愛好者の鬼門

毎年春になると、スイスのバーゼルとジュネーブで大規模な国際時計フェアが開催される。著名ブランドから知る人ぞ知るブランドまで、じつに魅力的な新作の数々がいっせいに発表され、時計好きにはたまらない。取材者たちもいつしか仕事を忘れ、あれも欲しいこれも欲しいと、つい気持ちが「買い物モード」になってゆく。私自身もそうだ。愛用時計のいくつかは、やはりそうした折りに選んだものである。

IWCポルトギーゼ
着ける機会の多い愛用品の「ポルトギーゼ・クロノ・オートマティック」。直径は40.9mmだが、ケースの縁ぎりぎりまで文字盤が占めており、実際はもっと大きく見える。時刻表示用はゴールドの針、クロノグラフ用はブルー・スティール針を用いるなど、細部まで凝っている。撮影:高橋義太郎

しかし、時計フェアの場で腕時計が直接買えるわけではない。そこで発表されるのは、あくまでも見本という位置付け。実際の製品が日本に入荷し、店頭に並ぶのはずっとあとの話。春に発表されてから早くても秋から冬、翌年以降になることも珍しくはない。その間に、欲しいという情熱がしだいに冷めていくことはよくある。

しかし、この冷却期間もまた役に立つ。フェアの熱狂に浮かれ、新しいものに夢中になっていても、ほんとうにそれが自分の欲する腕時計なのかどうか、冷静に判断できるようになるからだ。翌年にまた新しい仕様のモデルが発表されても、やはり欲しい気持ちに変わりがなければ本物だ。機械式腕時計は高価な買い物である。じっくり考えるに越したことはない。

次は、IWCが気に入りのわけ
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