トルクの波に乗る、という表現が本当に似つかわしい
クローム仕上げのフロントグリルやアンダーガードを装着。専用デザインの19インチアルミホイールやシルバー色のルーフレールも備え、エクステリアはスポーティに演出されている |
M・ベンツの環境技術BlueEFFICIENCY(ブルーエフィシェンシー)のロゴマークをボディサイドに、BLUETECのエンブレムをテールゲートに備える |
ブルーテックとは、ディーゼルエンジン用排出ガス処理システムのことで、排ガスに含まれる有害な窒素酸化物を尿素水溶液による還元作用によって大幅に減らしてしまおうというものだ。化学ですね。ハイブリッドやEVもそうだけど、自動車もこれからはプラス化学の時代です。
Eクラスと同様、エンジンをかけた瞬間の音と、ステアリングホイールから伝わってくる細かな振動で、このクルマのエンジンがディーゼルであることがすぐ分かってしまう。日頃、静かなエンジン車両に慣れた人には、とても気になるレベル。もっとも、買った当の本人はディーゼルを承知の上で買っているのだから、そう目くじらをたてるほどのものじゃないと思うが。
3リッター直噴ディーゼルターボエンジンは最高出力211ps/最大トルク540Nmを発生。7速ATと組み合わせ、燃費はJC08モードで9.4km/lとなる |
平均速度の低い市街地トラフィックでは、ちょっと鈍重な印象だ。なぜなら、時速40km/h以下ならばアクセルペダルをあまり踏む必要はなく、700回転あたりのアイドリングから始まって、せいぜい1500回転くらいまでしかエンジンを回さなくてすむからだ。ただし、その間のパワー感は単なる3リッターディーゼルもしくはそれ以下であるから、2トンを大きく超える巨体を動かすには、いかにもかったるく感じてしまうだけである。
ところが、どうだ。タコメーターの針が1800回転を超えたくらいから、その巨体が大きく前のめりしていると思うほどの加速がやってくる。トルクの波に乗る、という表現が本当に似つかわしい。そして、波に乗ってからの加速フィールは、このクラスのSUVとしては、ほとんど異次元な感覚である。
低速度域から蹴飛ばされるように前へ前へと進んでいくという意味では、V8やAMG63とも全く違う感覚であり、違う速さだ。それゆえ街中では、なにげにアクセルを開けてしまうことが躊躇われてしまう。正直、人口稠密な都市部ではなく、ヨーロッパ地方都市のように街中と郊外の境がハッキリとして道路環境のメリハリが利いた場所で乗ってみたいと思った。
もうひとつ。都内の狭い道でこれくらいの巨体を操る際には、左ハンドルの方が便利だと実感したことを、最後に付け加えておきたい。