シトロエン/シトロエン

激戦区に挑む、定番C3とアンチレトロDS3

激戦の欧州Bセグメントに殴りこみをかける、シトロエンC3。スポーティな3ドアのDS3と併せて試乗、ユニークな仕掛けをもつ5ドアベーシックモデルとスポーティなスペシャライズな3ドアモデル、おススメは……。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

新シリーズDSは、過去の名車DSの復刻ではない

シトロエンC3
8年ぶりにモデルチェンジを果たした5ドアコンパクトハッチのC3。サイズは全長3955×全幅1730×全高1530mm。価格はベーシックグレードが209万円、バックソナーやESPなどが備わるエクスクルーシブは239万円となる

これは、C3&DS3の試乗会で聞きかじった話。日本市場のBセグメントって、97%が国産車らしい。

二世代に渡って売れ続けるホンダフィットを先頭に、トヨタヴィッツ、マツダデミオ、日産マーチ&ノート、スズキスイフトなどなど、改めてメンツを眺めてみれば確かに寡占状態だろうとは思うけれど、97%って言ったらもう寡占どころか独占じゃない!? 輸入車にだって、ミニやVWポロ、フィアット500なんて“大物”たちがうようよいるんだから、もうちょっと数字稼いでいるのかと……。改めて日本はガイシャに厳しい、輸入車ガイドを頑張らねば、と思った次第。

それはさておき、シトロエンである。C3のフルモデルチェンジと、注目のDSシリーズ第一弾、DS3の新登場。この2台でもって、大票田であり激戦区の欧州Bセグメント市場へと殴り込みをかける。

さらっと概要をまとめておくと、C3は旧型のラウンドシェイプを引き継いだ、5ドアハッチのいわゆる定番商品。シトロエンの新ロゴを初めて使うモデルであり、それだけに力が入っている。その象徴が、視界108度というゼニスウィンドウ。天井までフロントウィンドウが枠なしで広がるこの窓、C4ピカソが初出だったけれど、デザイナーの思惑通り&経営陣のためらいに反して、大ヒット。以前からのアイデアどおり、安いC3にも適応されることに。

ちなみに本国にはなんと、ノーマルウィンドウ仕様もある。この“ひと手間”がシトロエン、だよねえ。

シトロエンDS3
従来のラインナップと一線を画し、より独創的で革新的な個性を備える特別なモデルがDSシリーズ。その第一弾が昨年9月のフランクフルトモーターショーで発表されたDS3。エクステリアやダッシュボードの色や、シートなどをユーザーの好みに合わせて組み合わせることができるビークルパーソナリゼーションも用意される。価格はシックが249万円、ターボエンジンに6MTを組み合わせたスポーツシックが269万円(受注生産)となる

そして、もう一台。プラットフォーム&メカニズム(ついでに言うとヘッドライトとインテリア)をC3と一にする、3ドアハッチのDS3。シトロエンの新シリーズDSは、過去の名車DSの復刻ではない。彼ら自身も広告でこう断言している。アンチレトロ、だと。だから、名前は伝統的であっても、表現方法は全く新しい。リクリエイションではない。プジョーでいうところの4ケタモデル。シトロエンの現行ラインナップでは満足できない層を新たにゲットするためのシリーズだ。そのことは、ダブルシェブロンを崩した新ロゴ採用の決意にも現れている。

とはいえ、この新シリーズ誕生に大きな影響を与えたのは、ミニBMWの大成功であることは間違いないだろう。否、シトロエンだけではない。今、Bセグメントにおいては猛烈な“スペシャライズ”風が吹いている。ミニ、フィアット500、アルファミト、日産ジューク……。

かつて、セダンがバカ売れしたのちにスペシャリティクーペがもてはやされたように、同じようなクルマが多く出回ると、その価格帯が大きなボリュウムとなり、その中で差別化を望むユーザーが増えて来る、という理屈である。歴史は繰り返すのだった。

シトロエンC3
クロームパーツやメタル調素材をあしらった運転席回り(C3)。3連メーターには個性的デザインのアーチ型バイザー(フローティングバイザー)も備わる。シート地はベーシックグレードはべロア、エクスクルーシブはアルカンターラ&ファブリックが用いられている

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