Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

“いい買い物”感に溢れたアウディQ5(2ページ目)

時代性にぴったりはまったアウディから登場したQ5。今のクルマ選びに重要な新しさの見えるこのコンパクトSUVには、多くの輸入車ファンが“アウディのようなもの”に望む要素が満ちています。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

セダン/アバントに劣らないしなやかな走り

アウディQ5
テールランプにもLEDを採用。バンパーやサイドシル下部はブラックで仕上げられるが、Sライン(写真)では専用パーツによりカラードとなる。また専用19インチホイールやスポーツシートなども備わる

特に、新しい2リッター直噴ターボとクワトロを組み合わせた右ハンドルグレードの存在が大きい。ドライブトレインは、アウディラインナップの中でも最も評価の高いもののひとつ。これが569万円から買えるわけだから、さしものライバル車たちも色をなくすというものだ。

繰り返すが、新しく見せる/見えることは、今の時代のクルマ選びにおいてかなり重要だ。クルマというものへの従来的な価値観が大きく変わろうとしているからである。ハイブリッドなどは言葉だけでその関門を突破する。そこに新鮮みのあるカタチが加わって、さらに買い替える理由が加速する。余談だが、各社が力を入れ始めたEV、カタチに全く新しい感動を覚えないのは残念。せめて、オールニューの日産リーフくらいは自動車新時代の幕開けを予感させるものであって欲しかった。あれじゃ、丸まったティーダぐらいにしか見えないじゃないか!

閑話休題。カタチ的には決して新しくない(どころか、よく見れば平凡なSUV)けれど、巷では新しいイメージがクリーンに強いアウディブランド、にしては新しくみえるカタチのQ5。ハッチもセダンもバンのアバントも、場合によってはクーペ系も今さらだしなあ、と悩みつつアウディというブランドを手に入れたい人には、これ以上ぴったりなモデルはあるまい。

アウディQ5
2.0TFSI(写真)には最高出力211ps/最大トルク350Nmを発生する2リッター直噴ターボエンジンを搭載。10・15モード燃費は10.6km/lとなる。3.2FSIは最高出力270ps/最大トルク330Nmの3.2リッター直噴エンジンを積み、10・15モード燃費は9.1km/l

2.0TFSIに試乗した。このエンジン、最大トルクで上級のV6エンジンを上回り、しかも1500回転からそれを得る。もちろん、7速Sトロニック(ダブルクラッチシステム)が組み合わされた。

Q5に乗って感じることは、最新アウディらしいメリハリの効いた乗り味をたもちつつ、同類(A4系)の中で最もしなやかな走りをみせる点。静粛性にも優れていて、乗った瞬間から“いい買い物をしたぞ”感が得られる。もちろん、内外装の質感の高さから、乗る前に既にそういう気分になっているのだが。

とりたてて“乗って楽しい”クルマではないが、アクセルひと踏みでの加速は一瞬慌てるほど強力(これに慣れない人もいるかも)だし、リアにより多く分配される4WD方式のためか想像以上に素直なハンドリングをみせた。SUVにありがちな、気持ちの悪い揺れや揺り戻しもほとんどみせない。気持ちよく、運転しやすい感覚の沈みこみである。高速スタビリティも、セダン/アバントに劣らない。

V6FSIにも試乗した。パワフルさという点では既に2.0TFSIとそう変わらなくなってしまったが、それでもエンジンの回転と自然な感覚で比例して出されるパワーフィールがとても贅沢で心地よい。好みのドライブフィールが得られるドライブセレクトも、今となってはプレミアムカー必須のアイテムだ。アウディの場合、個人的には、ステアリングフィールだけをコンフォートにして、他をすべてダイナミックにする設定がお気に入り。たとえS4だとしても!

輸入車のワゴンが、従来は、ひとつのステータスシンボルだった。SUVはそれにとって変わる存在になろうとしている。大型と中型がほぼ出そろい、今後はさらに小型のモデルも登場する予定のSUV。他ブランドの進出もあるだろうし、重量級のカテゴリーゆえハイブリッド化も容易いし、付加価値も付け易い。輸入車のスペシャリティカー的なポジションから、シンボリックな存在へと変わっていくことだろう。

アウディQ5
ドライバーの好みに合わせて、ステアリング/エンジン出力/サスペンションの減衰力などの設定を選択できる「アウディドライブセレクト」はオプションで採用
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます