Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

V10で“スーパーカーの本性”を見せたR8(3ページ目)

スペインで525psのV10エンジンを搭載したアウディR8に試乗しました。そもそも積む予定であったであろうV10によって、リアルスポーツモデルが“一流のスーパーカー”に昇華したその走りをお伝えします。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

官能性能が加わった“一流のスーパーカー”

アウディR8
ダンパーの減衰力を最適化するアウディマグネティックライドを装備。V8モデルではオプションとなっている

V10エンジンが低く猛々しくアイドリングしている。掛かった瞬間の音は相当にでかい。ただし、キャビンに入ってドアを閉めれば、それほどうるさくはない。アウディらしさ、である。

だから、ゆっくり走っている分には、まるでアウディ気分でいられる。ランボルギーニやフェラーリのように、不用意かつ不必要にドライバーを煽ったりしない。熱くなることを決めるのは、あくまでもドライバー。そういう長所は、V8から引き継いでいるのだ。

ところが。ひとたびドライバーが心のスイッチを戦闘モードに切り替えたなら、V10を得たR8は一流スーパーカーの本性を見せる。かなりの爆音(ただし、V10らしく少しこもった音だ。しかも、外で聞く方が格段に素晴らしい!)とクワトロシステム(といってもトルセン式ではなくビスカス式、つまりはランボルギー二方式)のトラクションをともなって、猛烈な加速をみせる。

やっとスーパーカーらしいスリルが出てきた、という感じ。このまま踏み続けるとマジでヤバいよ、という感覚がスーパーカーなのだ。V8では、その感覚が薄かった。

前足のさばきもなかなかしなやかで、自然な動きをみせた。アシはマグネティックライドで、基本的に固められているが、アタリが素直なぶん、むしろ気分のいいライドフィールである。その確実な手応えゆえ、どんどん攻め込んでいっても扱い易いという印象が変わらない。それは、サーキットに試乗の舞台を移しても同じ。よくできた電子制御システムのおかげで、無様なスピンも起こらない。けれども、十分に速く、ドライバーをきっちり楽しませてくれる。

タウンユースからサーキットまで。そのコンセプト自体はV8にも共通するものだが、そこにエンジンによる官能性能が加わった。おそらく、日本では2000万円を超える価格になりそうだが、その差額を払う価値は十分にある。

アウディR8
アルミスペースフレームなどにより車両重量は1620kgとされた

逆にいえば、V8の存在理由が分かりづらくなった。6MTの導入が決まっているが、それだってV10のマニュアルの方が楽しいに決まっている。さて、そのあたりの舵取りをどうするのか。クルマとしてのパフォーマンスが完璧になりつつあるがゆえに、かえって周辺が慌ただしくなりそうだ。

どうせなら、V8は噂のスパイダーだけにするとか、ライトウェイトバージョンを出してみるとか、思い切って欲しいな。なんせ、スーパーカー市場、まれにみる同型ボディ複数種類マルチシリンダーエンジンのクルマなのだから……。マセラティボーラ&メラク以来かしら……。


【アウディ 関連記事】
“モダンアウディ”の走りに磨きをかけたA6(輸入車)
アウディのスーパーカー「R8」に公道試乗!(スポーツカー&オープンカー)
A6は100万円以下でクワトロが正解(中古車の選び方)
“人気のTT”に加わった高性能なTTS(輸入車)
“Dセグ最良の1台”に追加されたA4アバント(輸入車)
>その他の関連記事はこちら
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます