サーキットから街中へ。スーパースポーツモデル感覚の走りを市街地で楽しめるモデルとして欧州で人気のFZ1フェーザーが、国内環境に合わせてエンジンなどにモディファイを加え、日本デビューを果たしました。今回は気になる日本仕様の実力を検証します。
ツアラー性に長けた998ccのスポーツバイク
FZ1/FZ1フェーザーは、スーパースポーツをもっと身近な存在として味わいたいというユーザーの声に応えて開発され、2006年に欧州向けモデルとしてデビューしました。ヤマハを代表するスーパースポーツモデル、YZF-R1と同系のハイパフォーマンスエンジンが実現する力強い走りと、街乗りやツーリングも楽しめる新たなスポーツテイストが支持され、欧州や北米で高い人気を誇っています。
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力強さの表現に重点を置いたスタイリングが特徴 |
これらの個性は、2008年に国内仕様として登場したFZ1/FZ1フェーザーにもそのまま継承されました。この2機種の最大の違いは、フロントカウルの有無。カウルを装着したFZ1フェーザーは、落ち着いた走行感やタンデム専用シート&グラブバーの装備で、優れたツーリング性能を実現しています。それでは、次に各部のパーツを見ながら、欧州モデルが国内仕様に生まれ変わるにあたってどのような変更がなされたのかを詳しく見ていきましょう。
日本の道路環境にマッチしたエンジン特性
高剛性アルミフレームに搭載しているエンジンは、2004年モデルのR1から移植した水冷DOHC5バルブ並列4気筒をベースにしたものです。日本と欧州では、規制などによって常用速度域が異なるので、ハイスピードを前提として作られている欧州仕様のエンジンで日本の道路を走ると、どうしてもマッチしない部分が出てきます。また、日本と欧州では求められる環境性能も異なるのが当然です。
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実走テストと修正を繰り返して入念に調整されたNEWエンジン |
そこで、日本導入にあたり日本の道路環境に合わせた低中回転域での扱いやすさを追求するために、エンジンの出力特性を一から作り直しました。その結果、輸入モデルの150馬力に対して94馬力へと最高出力を抑え、そのぶん低中回転域でのトルク特性を高めています。市街地走行で加減速を余儀なくされるときは微妙なアクセル操作に的確に反応し、渋滞を抜けたときにアクセルを大きく開ければスーパースポーツマシン譲りの胸のすくような加速を見せてくれる、そんな扱いやすく頼もしいエンジンに仕上がっているのです。
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