高音質再生にはクルマの剛性がモノをいう
個々のクルマの車内音響特性等は、オートサウンドの誌面で詳しく紹介するとして、今回の取材でわかったことがいくつか。まず、高音質再生にはクルマの剛性が大きくモノをいうということだ。VWティグアンはオーディオのグレードアップによっていい音になりやすい1台 |
車内が広いクルマは音も開放的
逆に剛性が高いとは思えないのに、音がいい例もあった。たとえばスマートフォーツーは、インテリアにプラスチックが多用されていて、内装の剛性が高いとは思えないし、車内の空間が極端に狭いなど、音響空間としてはとても条件がいいとは思えない。しかし、車内の狭さを感じない、広がりのある音場再生が楽しめたのだ。このスマートは例外で、一般的には車内空間が広いほうが開放的な音がしがちだ。コンパクトなハッチバックは、やはり音場が狭いし、圧迫感のある音になりがち。逆にアメリカのミニバンなど車内空間が広いクルマは、伸びやかな開放感のある音が楽しめる。ただ、アメリカ車は、なぜか車内の音響特性もアメリカン。今回試乗したアメリカ車すべてが、高域と低域が持ち上がり気味な、いわゆるドンシャリ傾向だった。
頭上の空間も高音質再生には重要
また、頭上の空間が広いほうが、落ち着いた音になりやすいのも一般的な傾向。たとえばパサートCCよりはティグアンのほうが、特性的に整っているような感じ。そんなクルマのほうが、カーオーディオシステムをグレードアップしたときに、簡単にいい音が得られやすいと思う。逆に、特性が乱れているクルマは、いい音を得るのにイコライザーによる綿密な補正が必要だ。そんな、車内音響特性と補正の関係をよく表していたのが、ボルボC30だ。このクルマ、車内音響特性自体は、けっしていいとはいえず、聴感上でもかなりピーキーな音だったが、純正オーディオの音は、まったくそれを感じさせない。むしろ、市販に交換する必要がないんじゃない? と思えるほど気持ちのいい音だった。おそらく、純正システムで、あらかじめ、車内の音響特性に合わせた補正が行われているのであろう。こんなクルマは、システムトータルのバランスでいい音に仕上げてあるので、あえて市販に交換せずに純正のままで楽しむほうが良さそうだ。
このように、カーオーディオのグレードアップに向くクルマ、難しいクルマは確実にある。クルマを乗り換える時、カーオーディオを市販機に交換するのが前提で、いい音が楽しめるクルマに仕上げたいのであれば、そのあたりもクルマ選びのチェック項目にいれたい。